ケアを怠ってボロボロに色あせしたスエードスニーカー
2016年に復刻版として販売され、その見た目に一目惚れして大学2年の誕生日に購入したPANTHER(パンサー)の「GT DELUXE “made in JAPAN” NVY/WHT」。まわりがニューバランスを履く中で、ブランドが誰とも被らず、スエード素材がクラシック感があり、それまでスニーカーを好んで履かなかった私のお気に入りになりました。
購入してから季節を問わず、かなりの頻度で履いていました。1年間の留学中もほぼ毎日履いていました。旅行中に出会う海外の方々に「そのスニーカー良いね!」と言われる度に「日本のスニーカーブランドです」と紹介していたのが懐かしいです。
しかし、当時はまだ靴のケアの仕方も知らなかったため、靴を休ませることも、ブラッシングすることもなく、使い倒してしまいました。革靴の手入れ方法を学んでから、このスニーカーも時々ブラッシングしていましたが、これまでの酷使で時既に遅く、見た目が綺麗にならないので、手入れする気分にもならずに履きつぶしていました…。そして5年目に突入しようとしている今、色あせ、色落ちも進み、新しいスエードスニーカーを購入したのもあって、このスニーカーは捨てようかと考えていました。
しかし、こんな見た目でも思い入れのあるスニーカーです。靴底は多少すり減っていますが、履けないわけではありません。最近スエードスニーカーを新たに購入したこともあり、このスニーカーをフルメンテナンスして、スエードスニーカーの扱いを学ぼうと考えました。
スエードスニーカーを復活させる!水洗い、栄養補給、色落ちの補色のフルメンテナンス

ブラッシング以外で、スエードスニーカーをケアするのは初めてです。果たしてボロボロの私のスニーカーは写真の新品のようにピカピカにできるのか。。
スエード靴はブラッシングとスプレー以外は何もしないのが理想
スエード靴はブラッシングとスエードスプレーがお手入れの基本です。今回のメンテナンスのためにいろんな記事を参考にしましたが、靴磨きのプロの方によると、ブラッシングとスエードスプレー以外はは基本的に何もしないのが理想と書いていました。
- 着用後のブラッシングで埃や汚れを落とす
- 月1程度で栄養補給のためにスエードスプレーをする
メンテナンス前の状態(Before)
メンテナンス前の状態です。街中から山道まで、1年間の海外生活を共にしたため、日焼けして砂埃にまみれてボロボロです。色落ちして毛羽立っています。
1.靴紐を外す
まずは靴紐をほどいて外しましょう。購入してから4年経っていますが、お恥ずかしながら初めて靴紐を外しました。青く色移りしていたり、黒く汚れている部分が目立ちます。
かかととつま先の靴底はすり減っていますね。もしかしたらもう寿命なのかもしれませんが、甦ったらあと数年は履きたい。。
2.シューツリー(シューキーパー)を入れる
今回、私は完全に忘れてしまっていましたが、本来であればここでシューツリーを入れます。革靴では当たり前ですが、スニーカーも同様にシューツリーを入れたほうがしわが伸び、ブラッシングしやすくなります。(今回はスニーカーを洗った後からシューツリーを入れました)
3.ブラッシングして埃や汚れを落とす
まずは靴のケアの基本、ブラッシングです。馬毛ブラシ(豚毛でも可)で埃や汚れをかき出すように全体をブラッシングします。
- スエードの毛流れと逆にブラッシングして汚れをかき出す
- スエードの毛流れと同じ方向にブラッシングして毛流れを整える
ブラッシング後の写真です。砂埃を落とせましたが、ブラッシングだけでは色落ちや毛羽立ちまでは解消できません。
4.スエードスニーカーを洗う
次はブラッシングでは落とせないシミや汚れ、カビを水洗いで落とします。
冒頭でも書きましたが、スエード靴は洗わないのが理想です。スエードは水をはじくため、革の中では丈夫なほうですが、水洗いではさすがに革を傷めます。
ブラッシングで汚れが落ちれば、この工程はスキップすることをオススメします。また、万が一洗う場合は、スエード用のシャンプー、もしくはジェイソンマークのスニーカー洗浄キットが革の負担が少なくてオススメです。
あいにくジェイソンマークが手元になかったため、捨てても惜しくない靴という前提で、ウタマロ石けんで洗いました。ウタマロ石けんは蛍光増白剤が配合されているため、白いもの(靴紐など)の汚れ落としには効果的ですが、色付きのものにはオススメしません。
まず靴紐を洗いました。白物には絶大な効果を発揮するウタマロ石けん。今回もしっかり靴紐の汚れを落としてくれました。
それでも、色移りや黒い汚れなど4年分の汚れは1回じゃ落ちきらないため、数回に分けて洗いました。靴紐1本5分以上はかかるので結構根気が要ります。
次は中敷きを外して洗いました。つま先周辺の埃や汚れをしっかりブラッシングして落とします。
そして最後にスエードスニーカーの表面を洗います。革をできるだけ傷めないように、あらかじめネットやブラシで泡立てた泡を表面に付けて、優しくブラッシングします。
靴底、内側など革以外の部分は白くなるまでしっかりゴシゴシ洗います。
右側が洗ったもの。タン(ベロ)の部分は白くなりました。水にぬれているので、スエード表面が綺麗に見えますが、乾いたらまた色あせ具合は元通りになります。
5.タオルで水分をふき取り、新聞紙を入れて乾かす
洗い終わったら、タオルでスエード表面の水分を優しくふき取ります。あとは内側に丸めた新聞紙を詰めて、風通しの良い日陰に置いて乾かします。
6.毛羽立ちをライターで火あぶりして焼き切る
乾いたら、シューツリーを入れて型崩れを防止します。汚れは落ちましたが、表面のカサカサと毛羽立ちが目立ちまくりです。
靴の表面が毛羽立ちだらけだったため、ライターで火あぶりして焼き切りました。このケアも基本的にはしないほうが良いです。スエード革の状態はおそらくボロボロですが、見た目は綺麗になりました。
7.スエードスプレーで革の栄養補給
汚れを落とし、毛羽立ちを焼き切って、表面の見た目はマシになりましたが、色あせたままで、スエード表面はカサカサです。
乾かしたあとはスエードの毛並みが固まっているため、馬毛ブラシでブラッシングします。かなり毛並みが固まっている場合は、そのあとクレープブラシを使います。
水洗いをすると、革の表面が乾く過程で水分や油分が抜け落ちてカサカサになるので、栄養補給と潤いを与えて色あせを防止するためにスエードスプレーを使用します。
様々な種類のスエードスプレーがありますが、今回はモゥブレィの「スエードカラーフレッシュ」を使用しました。色つきのものだと補色効果もありますが、今回は無色のスプレーを使用しました。
本当はスエード部分以外をマスキングテープでマスキングするべきなのですが、無色のスプレーだったので面倒くさがりな私はそのままスプレーしました。
スエードスプレーの使用上の注意
- 使用する時はスプレー本体を振らない。
- 50cm 以上離して、素早く全体を数回スプレーする。
- スプレーしたあと、30 分以上乾かす。
乾いたらまたブラッシングします。
8.色あせ、色落ちしたスエードをよみがえらせる。FAMACO(ファマコ) スエードカラーダイムリキッドで補色
最後の仕上げは補色です。これが一番見た目に影響します。今回使用したのはFAMACO(ファマコ)のスエードカラーダイムリキッド。ネイビーを購入しました。
色つきのスエードスプレーでも補色可能ですが、こちらの塗るタイプのものがレビュー評価が良かったのと、写真のビフォーアフターが素晴らしかったので購入しました。
白い部分に色が付くと困るので、さすがにマスキングします。100均で売っているマスキングテープで十分です。この作業が一番時間がかかって面倒でした。。。
不器用な自分はあまりに面倒くさくなってしまい、片足のみマスキングして、もう片方は白い部分を気合いで避けて塗ることに。
スポンジ部分に液を染み込ませて、スエード表面に塗りつけます。液体がそこまで濃くないため、何度か重ね塗りをすることで好みの濃さに調節することが可能で、塗りムラになりにくいのが特徴です。
私は3回に分けて塗りました。
そしてこちらが乾かしたあとの写真です。見てください!あんなに色あせ、色落ちしていたスエード表面が新品のように濃いネイビー色に戻りました!
フルメンテナンスで復活!ビフォーアフター
見てください。真っ白の靴紐としっかり濃いネイビーに染まったスエード表面。本当に新品に近い状態にまで復活させることができました。靴紐を洗ったこと、毛羽立ちを焼き切ったこと、補色したことがかなり見た目を改善させました。
ビフォーアフター
シューツリーを入れることでシルエットも綺麗になりました。
最初は捨てても良いくらいの気持ちで半分実験のようにフルメンテナンスしましたが、期待以上の仕上がりになりました。
正直こんなに綺麗になるとは思っていなかったため、スエードカラーダイムリキッドの補色にはかなり大満足です。あまりのビフォーアフター具合に、テンションが上がってそのまま履いて眺めてました。
あとは雨に濡れたり日焼けしたりして、この補色が落ちないことを祈るのみですが、今のところ大丈夫そうです。色落ちしたらまた補色すればいいですし。
何よりこの見た目で4年間ほぼ毎日使い倒していたスニーカーだとは思えないくらい綺麗になりました。以前は人に見せられない見た目だったため、近所用として使っていましたが、またお気に入りの靴として大活躍しそうです。これからはちゃんと日常のケアを怠らずに、ソールがすり減って履けなくなるまで大切に使いたいと思います。
今回はボロボロのスエードスニーカーを水洗いから補色までフルメンテナンスしましたが、本当に靴が甦ります。
最初に書いたように、水洗いやライターの火あぶりはあくまで最終手段のため、スエード靴は以下のケアをしっかりすることで長持ちさせることが理想です。
スエード靴を長持ちさせる基本ケア
- 一度履いたら、2日以上靴を休ませる
- スニーカーも革靴と同じように、シューツリーを入れて保管する
- 使用後はブラッシングして埃や汚れを落とす
- 月1程度でスエードスプレーをして革に栄養、潤いを与える
- 頑固な汚れや固まった毛並みはクレープブラシで擦る
- 靴紐は汚れたら洗う、もしくは交換する
- 色落ちしたらスプレーや塗るタイプのもので補色する
どうしても落ちない汚れや毛羽立ちがある場合は、水洗いや火あぶりを試してみてください。
ビニール素材のスニーカーなら洗えば綺麗になりますが、スエードスニーカーは少し扱いにコツが要ります。しかし、しっかりケアすればそれらのスニーカーより長持ちしますし、何よりスエードの上品な見た目は魅力的です。
もしお手元にくたびれたスエードスニーカーがあれば、ぜひ一度メンテナンスしてみてください。
素晴らしいですね。最近はスニーカーの靴底修理もしてくれるお店が増えました。
踵だけなら部分修理も可能ですし、できる限り似たソールでオールソールもやってくれます。オリジナルではなくなってしまいますが、ローテクスニーカーなら再現度はかなり高いです。ここまで愛用されたなら是非延命してあげてください。
コメントありがとうございます。
スニーカーも革靴のようにソール交換してくれるお店が増えてきているんですね。
ここまで見た目が綺麗に戻ってくれたので、オールソールしてさらに長く愛用したいと思います。