CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)

CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)は、1879年にジェームズ・クロケットと義理兄弟のチャールズ・ジョーンズが革靴の聖地ノーザンプトンで創業した英国を代表する革靴ブランド。

1924年には英国王室への納品実績が認められ、のちのジョージ6世であるヨーク公が見学に訪れています。140年以上のブランドの歴史の中で、OEMメーカーとして多くのファッションブランド、「ジョージ・クレバリー」や「ジョン・ロブ・パリス」などの高級既製靴製造を手がけてきており、今や世界中で最も多くの木型を有する革靴メーカーとなりました。007シリーズでは「スカイフォール」以降、ダニエル・クレイグが同社の革靴を履いています。

1997年にはロンドンのジャーミン・ストリートに店を構え、これまで培われてきた技術を生かして、社名をブランド名としたオリジナル既製靴の販売を開始しました。

2019年で140周年を迎え、ロンドン、バーミンガム、パリ、ブリュッセル、ニューヨークを中心に直営店と小売店を構えています。デザインや素材が豊富で日本国内でも数多くのセレクトショップで取扱いのある人気ブランドとなっています。

 

英国王室御用達「ロイヤルワラント」

世界各国の王室に商品を納入しているブランドに与えられる「王室御用達」の認定の中でも、イギリス王室の「英国王室御用達(ロイヤルワラント)」は代表格。

厳しい審査や管理を経て、王室が実際に使用し、英国王室に最低5年以上納品している実績があるものから英国女王、エディンバラ大公、ウェールズ公が認めたものだけにそれぞれの紋章が与えられます。認定されたブランドは与えられた紋章(最大3つ)を掲げることができますが、5年ごとに審査があり、常に高品質の商品を提供することが求められます。

左からライオンとユニコーンが描かれたエリザベス女王の紋章、血縁関係のあるデンマークとギリシャをモチーフにしたエディンバラ公(フィリップ殿下)の紋章、王冠に3本の羽根をあしらったウェールズ公の紋章。

創業当時から英国王室との関わりがあったクロケット&ジョーンズですが、2017年にはチャールズ皇太子からロイヤルワラントを授与しました。

 

CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)の革靴作り

創業より家族経営されており、現在はジョーンズ家4世代目のジョナサン・ジョーンズ氏が指揮を執っています。創業当時から変わらない伝統的な製法を、機械を導入することで生産効率と技術を向上させ、10年以上履いても品位を失わない高級革靴を生産しています。

クロケット&ジョーンズの革靴は、グッドイヤーウェルト製法を用いて、200以上の工程を約8週間かけて生産されています。

1.パターンカット自社オリジナルの木型をベースにデザインを決め、革を裁断するためのパターンを作成します。
2.型入れ、裁断一流のヨーロッパのタンナーから卸した高品質なレザーのみを使用し、パターンを当てて裁断線を引きます。熟練の職人が革の状態を見極めながら、最適な部位を切り取り、アッパーとライニングの革を裁断します。
3.アッパー作り100人を超える職人が目視で機械を用いながら革を縫製してアッパーを作ります。飾り穴やステッチ、手縫い工程も含まれます。
4.その他パーツ作成アウトソール、ヒール、インソールなどパーツを作ります。
5.アッパー付け型に合わせてアッパーを付けていきます。
6.ウェルト付けアッパーの側面とアウトソールの間にウェルトを縫い付けます。
7.アウトソール付けコークを入れてアウトソールをウェルトに縫い付けます。
8.仕上げヒールを付けて、ソールの形を整え、塗装、防水加工、磨き、刻印、検品、ヒモ遠し、箱詰め。

 

徹底した品質管理を行いながらも生産ラインを効率化しているため、ジョン・ロブやエドワードグリーンなどの老舗ブランドに比べると価格を抑えることができています。

また、クロケット&ジョーンズには大きく分けて、高級ラインの「ハンドグレードコレクション」と定番ラインの「メインラインコレクション」があります。

ハンドグレードコレクションは革質の良さもさることながら、製造工程にさらに一手間かけており、「ヒドゥンチャネル」と呼ばれる革底の縫い目が隠れる製法を採用していたり、土踏まずが絞られた立体的なフィット感や職人が手で磨いて出す深い色合いなどが特徴です。ストレートチップなどフォーマルシーンで履くドレスシューズはハンドグレードを選ぶのがオススメです。

 

BEAMS別注「CAVENDISH3(キャベンディッシュ3)」

出典:https://www.frame.jp/blog/all/feature/cavendish3boston2/

オールデンからタッセルローファーが生まれ、ブルックスブラザーズがその火付け役となったことは有名ですが、近年、日本国内でタッセルローファーブームを引き起こしたのは間違いなくクロケット&ジョーンズのキャベンディッシュと呼ばれるモデルのおかげでしょう。

CAVENDISH3(キャベンディッシュ3)は、日本のセレクトショップBEAMSが、現行品のキャベンディッシュ2のフィットを日本人向けに改良して生まれた別注モデル。375というラストは、丸みを帯びたトウの表情はそのままに、日本人の足型を考慮して、土踏まずから踵にかけてのウエストとヒールカップが絞られて、フィット感が向上しています。

伝統的な英国靴メーカーの多くが木型や細かなデザインの変更を受け付けない中、様々なリクエストに柔軟に対応しているクロケット&ジョーンズだからこそ生まれたモデルです。

 

クロケット&ジョーンズのキャベンディッシュ3を購入するまで

社会人になってからクラシックなファッションアイテムを揃えてきましたが、カジュアルコーディネートに合わせる革靴をほとんど持っていなかったため、オンオフどちらでも使えるタッセルローファーを探していました。

キャベンディッシュ3の存在は知っていましたが、人と被りたくなくて最初はスルーしていました。まず候補に挙がったのはオールデン。タッセルローファーのオリジナルブランドということもあり気になっていましたが、

  • コードバンは扱いが少々面倒なこと
  • コードバンのギラギラした感じがオンの時には少し目立つ
  • コードバンは自分の好みとする英国やイタリアのクラシックファッションよりもアメカジのほうが相性抜群であること

という理由から、邪道かもしれませんが、カーフレザーを用いたオールデンのタッセルローファーを探していました。しかし、これといったものが見つからず、他ブランドのタッセルローファーを見ましたが、結局クロケット&ジョーンズのキャベンディッシュに戻ってきました。

キャベンディッシュは上述したとおり、2と3があります。キャベンディッシュ2は並行輸入品があるため、約5万円ほどで購入できるのですが、フィッティングに関するネット記事を見る限りでは、やはりキャベンディッシュ3のほうが足に合いそうという結論に至りました。

キャベンディッシュ3は並行輸入品がないため、基本的に定価で購入することになります。BEAMSのセールで1、2割引きを狙うのが安く手に入れる方法でしょう。出かけたときにBEAMSでキャベンディッシュ3を試着させて頂き、足に合うことは分かったので、あとは購入するだけでした。しかし、定価約9万(シューツリーを入れると10万超え)はなかなか勇気の要る買い物です。その場では定価で買う決心が付かず、次のBEAMSの買い合わせセールまでお預けすることに。

そんな矢先に、楽天市場の買い物マラソンでキャベンディッシュ3のセールを見つけました。

福岡にお店を構えるセレクトショップ「FRAME」はクロケット&ジョーンズの正規取扱い店なのですが、そこで別注したキャベンディッシュ3(アッパーがボーンドカーフ、アウトソールがシティソール)が廃盤のため、セールにかけられていました。

革靴にこだわりがある方はレザーソールを好むと思いますので、シティソールであったために売れ残っていたのでしょう。私もレザーソールのほうが本格仕様で好みですが、

  • 雨の日に滑りにくい
  • アウトソールにトウスチールやラバーを付ける必要がない

という実用的なメリットもあります。迷った末に、セールで安くなっていたこと、別注品で廃盤モデルのため限定品を所有するレア感があることから購入を決意しました。

 

FRAME別注「CAVENDISH3(キャベンディッシュ3)」ボーンドカーフ、シティソール 購入レビュー

  • ブランド:CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
  • モデル:CAVENDISH3(キャベンディッシュ3)
  • 素材:ボーンドカーフ、シティソール
  • 色:BLACK(ブラック)
  • ラスト:375
  • サイズ:UK 7.0
  • フィッティング:E
  • 生産国:イギリス
  • 定価: ¥86,900 (税込)

 

英国らしいブリティッシュグリーンの箱に金色のロゴ。

 

キャベンディッシュ3、ブラックボーンドカーフ、シティソール、ラスト375、サイズ7E

 

高級革靴ブランドは革靴に靴袋が付属します。出張や旅行の時に革靴を入れる袋として使えますね。(最初は靴袋を汚したくない心と葛藤することになりそうですが…)

 

キャベンディッシュ3のディテール

 

アッパー:BONED CALF(ボーンドカーフ)

このキャベンディッシュ3にはカーフレザーの表面に樹脂加工を施して光沢を出したガラスレザーの「BONED CALF(ボーンドカーフ)」を使用しています。通常のカーフよりも表面がきめ細かく滑らかになっているため、コードバンのような艶感があります。カーフレザーとコードバンの間くらいの光沢のため、ギラギラしすぎて目立つことなくちょうど良いです。

また、表面をコーティングしているため、傷付きにくく、雨に強いというメリットもあります。通常のガラスレザーとは異なり、厚みがあるためヒビ割れしにくいです。

 

メインラインコレクションは金色のロゴがインソールに印字されています。

 

タッセル

デザインアイコンのタッセルは職人が手作りで仕上げています。

 

トウシェイプ

やや丸みを帯びたトウシェイプ。大きめのモカ縫いステッチは乱れなく綺麗です。

 

アウトソール:ラバーソール「シティソール」

アウトソールは「シティソール」と呼ばれるラバーソール。

2016年秋冬シーズンから登場したクロケット&ジョーンズ限定のラバーソールで、メーカーはダイナイトソールの製造で有名なハルボロラバー社です。グリップ力と弾力性に優れています。

 

通常のラバーソールはボリューム感があるのでカジュアル感が出て好みではなかったのですが、このシティソールはボリュームを抑えて、レザーソールのデザイン性とラバーソールの機能性の良いとこ取りをしたソールになっています。

 

ヒールとアウトソールを合わせて2cm。

 

キャベンディッシュ3のシューツリー選び

革靴の保管にはシューツリー(シューキーパー)が必須。靴用品メーカーで安いシューツリーを購入することもできますが、適正なサイズのシューツリーでなければテンションがうまくかからずに型崩れしてしまいます。

安い革靴ならまだしも、せっかく良いモノを購入したので、シューツリーでケチることはせずに、見た目もブランドで統一できるクロケット&ジョーンズの純正シューツリーを購入しました。

クロケット&ジョーンズの純正シューツリーは様々なモデルに対応している定番品と、ハンドグレードコレクションなどのクラシックなモデルに対応している高級品の2種類しかないため、定番モデルを選びました。

ちなみに、純正シューツリー以外だと「コルドヌリアングレーズ EM97CAH」が合うそうです。ネジ式でテンションを調整できるのは魅力的ですが、価格は並行輸入品の純正シューツリーと変わらないため、個人的には見た目の統一感で純正シューツリーをオススメします。

 

クロケット&ジョーンズ 純正シューツリー

  • ブランド:CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
  • モデル: CROCKETT&JONES 9901 natural lime wood
  • 素材:ライムウッド
  • サイズ:UK 7.0
  • フィッティング:E
  • 生産国:イギリス
  • 定価: ¥14,300 (税込)

お買い物マラソンに合わせて購入したので少し安く購入できました。英国公式サイトでは65ポンド(約1万円)で販売されているのですが、シューツリーだけ購入しても送料がかかるので、並行輸入品を通販で購入しました。

箱はブランドのものではないですが、箱があってもゴミになるだけなので問題なし。包装は丁寧でした。

 

シダーウッドや、ブナを用いたシューツリーが多い中、クロケットジョーンズの純正シューツリーの素材はジョンロブと同じライムウッド。ツインチューブタイプのため湿気がこもることがなく、ニスによる仕上げをしていないため、吸湿性に優れています。

手持ちの安いシューツリーと比べると、色が白いこと以外に、重量が軽く、手触りが柔らかくて滑らかです。出張や旅行で持ち運ぶ時にシューツリーの重さがネックになることが多いのですが、この純正シューツリーは比較的軽くて良いですね。

 

キャベンディッシュ3の場合は、靴のサイズとシューツリーのサイズは同じで問題ありません。ハーフ刻みのサイズが用意されていないため、7.5の場合は7を選びます。

私が購入したお店は1回に限りサイズ交換可能で、かつモデルに合わせてサイズ選びの相談に乗ってくれるようです。

 

キャベンディッシュ3のラスト375が細めに作られているため、純正シューツリーを入れると土踏まず側のボールジョイントあたりだけ、純正シューツリーが若干幅が大きいです。足入れしていない状態のキャベンディッシュ3に入れたら結構タイトでした。

かかとや甲はちょうど良いです。シューツリーを初めて入れる時だけ、ボールジョイント部分にシワが付かないように丁寧に、そして勇気を持ってねじり込んだら、数日後に革が伸びてちょうど良いテンションになりました。

 

履きおろし前のプレメンテ

革靴を購入したら、まずはプレメンテして古いクリームを落とし、革を保湿してシワを予防します。

 

馬毛ブラシでブラッシング

 

ワックスクリーナーと水溶性クリーナーで、古いクリームを落とします。

 

プレメンテは油性クリームを塗る前に革を保湿してシワを予防するためにコロニルの栄養クリーム「1909 シュプリームクリーム」を塗り込んで拭き上げます。

 

栄養クリームを塗って拭き上げただけで光沢感が増してピカピカになりました。

 

最後に油性クリームを塗って、豚毛ブラシでブラッシングしてから拭き上げます。

 

油性クリームを塗ったら光沢感がちょっと曇ってしまいました。簡単なケアの時は「1909 シュプリームクリーム」だけで十分かもしれません。

私はストレートチップなどの革靴は鏡面磨きもするのですが、このキャベンディッシュ3はボーンドカーフで既に光沢感があるため、しばらくは鏡面磨きしないで履いてみようと思います。

 

英国ブランドの高級革靴はこれが最初の1足のため、手持ちの革靴と比べても明らかに革質の良さが群を抜いていました。純正シューツリーも格好良く、眺めているだけで気分が上がります。

 

キャベンディッシュ3のサイズ感(フィッティング)

タッセルローファーは脱ぎ履きが楽なのが魅力の一つですが、靴紐でフィッティングを微調整できないため、サイズ選びはかなり重要となってきます。

  1. 足長(サイズ)が合っている
  2. 足の甲が合っている(甲と靴の隙間が極端に広くない)
  3. 足の幅が合っている
  4. 歩行時にかかとが抜けずにしっかりホールドする

これらを意識して試着することをオススメします。キャベンディッシュ3はグッドイヤーウェルテッド製法で作られているため、靴底が沈んで馴染んでくるため、購入時点で少しタイト目〜ジャストフィットくらいが良いでしょう。

zozomatで測った私の足サイズです。足長が25.5cmのため、スニーカーは26.5〜27cm、革靴は25.5cmがマイサイズであることが多いです。

 

靴下を履いていざ試着。サイズ:UK7、ウィズ:E で足長はほぼ隙間なくぴったりです。

 

土踏まずのアーチとかかとで足をホールドできています。キャベンディッシュ2は試着したことがないのですが、ネット記事を見てるとホールド感が別物のように違うそうなので、やはり日本人にはキャベンディッシュ3のほうが合っているようです。

購入直後はさすがに長時間歩くとかかとの靴擦れが起こりましたが、絆創膏を貼れば問題なく履き慣らしできそうです。徐々に足に馴染ませていきたいと思います。

 

全体的にややボリューム感のあるシルエットですね。ボーンドカーフの適度な光沢感も相まってクラシックファッションにぴったりです。

 

タッセルローファーならコレ!人気なのには理由がある。

オンオフどちらも使えて汎用性の高いタッセルローファー。人と被るのが嫌で避けていたキャベンディッシュ3でしたが、日本人向けに別注しただけあってフィット感は素晴らしいです。人気商品である理由が分かった気がします。

 

「10年経っても品位を失わない革靴」をブランド理念としていますので、長く大切に使っていきたいと思います。キャベンディッシュ3を購入する際は、ぜひ純正シューツリーも忘れずに。

 

オススメ度:★★★★★(5.0/5.0)

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アクアスキュータムのトレンチコートに引き続き、憧れの名品を購入できて嬉しい限りですが、そろそろカード請求が悲鳴を上げているので、しばらく散財はお預けしたいと思います…

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