ローマ観光二日目。バチカン美術館、サンピエトロ大聖堂の見学に半日を費やし、気付いたら15時半。ローマ観光最終日の夕方もできるだけ写真を収めるために歩き続けます。(写真は2017年8月当時のもの)
コンチリアツィオーネ通り
イタリアとバチカンの間で交わされた、ラテラノ条約(バチカン市国が認められた)の際に建設され、1936年に完成したのが。コンチリアツィオーネ通りです。コンチリアツィオーネは「和解」を意味するため、和解の道とも言われています。
カトリックの総本山であるバチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂正面へと真っ直ぐに伸びる大通りです。大聖堂のクーポラからこのコンチリアツィオーネ通りが一直線に見渡せましたが、ここから見る大聖堂も良い眺めです。営業時間や入場料はもちろんありません。自由に誰でも楽しむことができる景色です。
端から端まで10分弱。夜来るとライトアップされた大聖堂を見ることもできます。
ヴィットリオ エマヌエーレ2世橋
イタリア統一の1861年から半世紀後の50周年祭に、白を基調とした建造物が次々にローマに建設されました。このヴィットリオ エマヌエーレ2世橋も1911年に完成したものです。
トリノやサルデーニアを治めていたサルデーニア国王、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世が父から引き継いだイタリア統一戦争に終止符を打ち、数々の小国の集合体だったイタリア半島がイタリア王国として統一されました。王国の国父と呼ばれ、イタリアの象徴として国民から敬愛されています。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世を称える建造物ではヴェネツィア広場の記念堂が有名ですが、この橋もその一つですので見ておいて損はありません。
サンタンジェロ城、サンタンジェロ橋
サンタンジェロ城 (聖天使城)は、皇帝ハドリアヌス帝 がお墓(霊廟)として造らせた城です。その後、要塞となりました。もともとは霊廟への通路だった橋ですが、17世紀にベルニーニが改築し、サン・ピエトロ大聖堂へと続く参道として天使像を据えることで巡礼者たちを神の世界へ導く演出にしました。
橋にはキリスト受難の品(柱、鞭、イバラの王冠、聖骸布、聖衣とサイコロ、釘、十字架、INRIの銘、海綿、槍)を手にした10体の天使像が飾られています。10体のうち2体(「イバラの王冠」と「INRIの銘」)はベルニーニ自身が作成し、残り8体はベルニーニの工房で造られました。
ベルニーニ作の2体は出来映えの良さに風雨で像が傷むのを心配したクレメンス9世がレプリカに置き替え、オリジナルは手元に置くことにしました。現在はサンタンドレア・デッレ・フラッテ教会に納められています。
長い時間をかけて世界中からここまで巡礼してきた信者たちに、天使たちの持つ受難の品を見せることで、信者たちに代わって計り知れぬ苦難を背負ってくれたキリストの生涯を思い起こさせ、最終目的地のサン・ピエトロ大聖堂を前に気持ちを高ぶらせるという壮大な演出には感心します。
男心くすぐる仕掛けにサンタンジェロ城とバチカン市国の秘密通路があります。ローマ教皇が命を狙われた時にバチカン市国から抜け出して要塞であるサンタンジェロ城に逃げ込む為の通路で、歴史の中で実際に何度も使われています。毎年夏に一般公開されており、通ることが可能だそうです。
今回はサンタンジェロ城の内部は見学していません。気になる写真スポットがなかったのと、少し高い入場料が大きな理由ですが、しっかり歴史を感じたい人はぜひ中も見学してみてください。
ナヴォーナ広場
ナヴォーナ広場は、古代ローマ時代の競技場の跡地を広場として設計しており、冬場は伝統的にクリスマス・マーケットが建つ広場としてもローマで有名な広場の一つです。
広場には「四大河の噴水」、「ムーア人の噴水」、「ネプチューンの噴水」の三つの噴水があり、中央で「四大河の噴水」がオベリスクを支えています。
ネプチューンの噴水
四大河の噴水とオベリスク
フランチェスコ・ボッロミーニが設計した「サンタニェーゼ・イン・アゴーネ教会」の前に立ち、オベリスクを支えているのが「四大河の噴水」。
四人の巨人の彫刻はそれぞれ、ナイル川、ガンジス川、ドナウ川、ラプラタ川を表しています。
この噴水の制作をベルニーニに依頼した法王インノケンティウス10世の実家パンフィーリ家の紋章が彫刻されており、オベリスクのてっぺんにも紋章であるオリーブの枝を加えた鳩が立っています。
ローマ観光の中で意識していたことの中に、映画「天使と悪魔」のロケ地を回ることがあります。私の中では、四大河の噴水は、劇中で四大元素の1つ「水」が示す場所として4人目の枢機卿を発見する場所のイメージが強く、「ここで枢機卿が溺れかけていたのか」と映画の世界を堪能させてくれました。
マダーマ宮(上院議事堂)
サン ルイジ デイ フランチェージ教会
サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会はナヴォーナ広場の近くにある教会で、ローマ在住フランス人の国民教会です。
教会内の絵はお金を入れてライトアップさせる仕組み。
この教会で最も有名な絵はコンタレッリ礼拝堂にある聖マタイの生涯を描いたカラヴァッジオの作品です。他の観光客がお金を入れてライトアップしてくれたので見ることができました。
またナヴォーナ広場に戻ってきました。サンタニェーゼ・イン・アゴーネ教会が光に照らされて美しい。
夕食:Cantina e Cucina
昼食も食べていなかったので、ここで遅めの昼食兼夕食です。
明るくて気さくな良い意味でイタリアっぽい店員さんが出迎えてくれました。日本語メニューがあったのは驚きで、日本人観光客もよく訪れるのでしょう。ワンピースオタクで日本語の接客単語を覚えている店員さんが話しかけてくれました。
灼熱の中歩き続けて水分不足でしたが、ここはイタリア。ワインを飲まないわけには行きません。白ワインとサルティンボッカ 計16ユーロを注文。
「口に飛び込む(早く出来る)」という意味のサルティンボッカですが、豚肉に生ハムがくっついて、酸味のあるサッパリとした味付けで美味でした。白ワイン・オイル・レモンマリネで味付けしているのかな?
ローマの食事はファーストフードが多かったですが、ここの料理は値段もクオリティもちょうど良くオススメしたいお店です。サービスも素敵で、最後にキャンディーと度数強めのお酒をサービスでもらいました。
Giolitti:ローマのジェラート
本当にローマの夏は暑かったので、食後ということもあり、涼しさ欲しげにジェラートを食べることにしました。ヨーロッパ各国回りましたが、イタリアのジェラートは本当に美味しいです。
ここGiolittiは、ローマで最も有名なジェラート屋さん。先払い制で入店してすぐのレジで支払ってからカウンター内にいるスタッフにレシートを渡し、フレーバーを注文します。 有名店だけあって多少列に並びますが、すぐ順番が回ってきます。スタッフの方は淡々と作業をこなしますが、それも良い。
たくさん味の種類があるので一人旅じゃなくて何人かと一緒に行って食べ比べしたいですね。私が訪れた2017年当時は2.5ユーロでした。安い。
ベタにチョコレート。店内に席はありますが、ジェラートだけの人はお断り? 私は外でパパッと食べる予定だったのでその辺は分かりません。
コーンかカップル選べます。コーンを選んだらローマの灼熱に耐えられず、すぐ溶けて手がベタベタになったので、カップをオススメします。
また次来るときは夜景も見てみたいですね。
スペイン広場
映画「ローマの休日」で有名になったのがここスペイン広場。スペイン大使館が近くにあることから名前が付いたそうですが、今では有名観光スポットとして毎日観光客で賑わっています。
通称スペイン階段と呼ばれる階段を上ると、トリニタ・デイ・モンティ教会があります。私が訪れた2017年当時は飲食禁止なだけで座るのはOKでしたが、保全のため2019年から座ることも禁止になりました。記念に座っておけばよかった…。
バルカッチャの噴水
スペイン広場には1629年にウルバヌス8世の命を受け、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニによって造られた噴水「バルカッチャの噴水」があります。1598年にテヴェレ川が氾濫したときに一艘の舟が広場に流れ着いたという話から、この船の形の彫刻になりました。彫刻の舳に3匹の蜂をあしらったバルベリーニ家の紋章が装飾されています。
夕日に照らされて良い雰囲気です。スペイン階段に座ってカップルで黄昏れるのも今や禁止とは少し寂しいですね。
135段あるスペイン階段を上ると、ローマのショッピングストリートのコンドッティ通りがよく見えます。
ポポロ広場
かつてローマの北の表玄関であった広場がポポロ広場です。広場中央には初代皇帝アウグストゥスがエジプトから持ち帰った高さ36mのオベリスクがそびえ立っています。
ポポロ門
ポポロ門は、1475年にローマ教皇シクストゥス4世により建てられました。逆側で写真には写っていませんが、ファサードは1655年にスウェーデン女王を迎えたときにベルニーニによって装飾が施されました。ミケランジェロやダ・ヴィンチ、ラファエロもローマ入都の際にこの門をくぐったと思うと感慨深いです。
サンタ・マリア・デル・ポポロ教会
ポポロ門の隣りにある教会がサンタ・マリア・デル・ポポロ教会です。市民(ポポロ)の募金によって建てられたためこの名が付きました。一見地味な教会ですが、キージ礼拝堂のベルニーニ作「ハバククと天使」、「ダニエルとライオン」、チェラージ礼拝堂のカラヴァッジョ作「聖パオロの改宗」と「聖ペテロの逆さ磔」があり見どころ満載です。
映画「天使と悪魔」の最初の殺人現場としても有名。
サンタマリア・ デイ・ミラーコリ教会(ローマ)
ポポロ広場に面して双子のようにそっくりな教会が立っています。向かって右がミラーコリ教会、左がモンテサント教会。特に有名な美術品があるわけではないので、中はほとんど人がいませんでしたが、静かで荘厳な雰囲気でした。
まだ明るいとはいえ、この時点で19時前。ローマ最終日のため、一度バックパックを宿泊施設で回収。ここから夜景を撮影するためひたすら歩きます。(メトロでコロッセオの近くへ行きたかったのですが、現金がなくて5キロ歩くはめに…)
サンタンジェロ橋の夕景
昼間に一度訪れましたが、寄り道ついでに夕焼けに照らされるサンタンジェロ城を撮りに来ました。
2泊3日でかなりハイペースで観光し、ほとんど行きたかった場所に行けたのですが、最後にサン ピエトロ イン ヴィンコリ教会という、ミケランジェロの代表作のひとつである「モーゼ像」がある教会に行けなかったのが今でも心残りです。またいつかローマに帰ってきたいですね。
ヴェネツィア広場、ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂(Monumento Nazionale a Vittorio Emanuele II、別名:アルターレ・デッラ・パトリア(伊Altare della Patria、国父の祭壇))は、イタリア王国初代国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の記念堂。中央部には無名戦士の墓としての役割も兼ねて祭壇があります。円形芝生広場のヴェネチア広場も目の前にあります。交通量が多いため注意が必要です。
初日の昼間にも訪れましたが、夜景を撮るためにまたヴェネツィア広場に戻ってきました。19時半頃でもまだ明るいです。マジックアワーの空と月が綺麗でした。
コロッセオの夜景
最後はヘトヘトになりながらも、真っ暗になる前のギリギリのタイミングでライトアップされたコロッセオに辿り着き、夜景を収めることが出来ました。
ローマの夜はかなり怖い
夜景も撮れて大満足でしたが、最後の最後でローマ最終日の宿を探すのに手間取り、治安の悪い夜のローマを彷徨うはめになりました。これまでもヨーロッパ各国を旅して一人で夜出かける(夜景撮影が目的)が多かったのですが、ローマとパリの夜がダントツで怖かったですね(ヴェネツィアの狭い道でのひとりぼっちも怖かった)。
特に大きなトラブルには巻き込まれませんでしたが、あまりに怖くて一度マクドナルドに逃げ込みました(Wi-Fiに繋ぐ目的もありました)。先に宿に着いているはずの友人に連絡を取ることができ、なんとか22時前に宿に着きました。その後は張り詰めていた緊張感と疲れのせいか、すぐ爆睡した思い出。
魅力的な観光地の多いイタリアですが、くれぐれも夜の外出は気を付けてください。私は夜景撮影中も周りを警戒しながらビクビクしてました笑
今後もまだまだヨーロッパ1カ月周遊の旅は続きます。2017年の夏休みの旅を3年越しに書き起こしていることもあり、記憶が曖昧になっていそうですが、何せ写真編集が時間がかかりすぎてこんなことになっています。どうか温かい目で見守ってください。旅行計画の参考になれば幸いです。
お次はフィレンツェへ!(写真編集が終わり次第、引き続き更新致します)