容姿、性格、会話力など人の個性や魅力は様々ですが、社会人になって幅広い年代の方々と交流していると、教養や品格がこれらを引き立てるということを意識する機会が多々あります。
所作や立ち振る舞いが美しいと上品さや気高い雰囲気を感じて容姿が割り増しで見えるのか、しばしば目を奪われることがあります、また、ものごとに対する理解力やバランス感覚が抜群で、これまで身につけてきた学問や知識で培われた豊富な引き出しの中からその場の会話やシチュエーションに応じて気の利いた言葉選びや話しができる人は面白いなと感じます。
そんな教養の一つとして身につけておきたい最低限の食事マナーを分かりやすく解説しているのが今回紹介する「ティファニーのテーブルマナー」です。
Tiffany’s Table Manners for Teenagers(ティファニーのテーブルマナー)
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世界5大ジュエラーの中でも圧倒的な知名度を誇るティファニー(Tiffany & Co.)。ジュエリーだけでなく、銀食器などのテーブルウェアも扱っています。
この「ティファニーのテーブルマナー(Tiffany’s Table Manners for Teenagers)」は、当時食器を購入した顧客に進呈されていた冊子をもとに改訂・市販された本になります。アメリカで1869年に発行され、著者は当時ティファニーの会長だったウォルター・ホービング氏。品位無くブランド物をぶら下げている人がいるのは世界共通なのか、ティファニーの食器を扱う方にはこれだけでも心得てもらいたいという想いを感じます。
「for Teenagers」とあるように、社会に出る前の若者が最低限身につけるべき作法の心得というテーマで優しく簡単に書かれていますが、大人が読んでも勉強になります。
目次
目次は着席からフルコース(スープ、魚、肉、サラダ、デザート)をステップごとに解説しており、西洋式テーブルマナーを素敵なドローイングと古風な和訳分で面白おかしく学べます。
全98ページで、各ページに大きく挿絵が入っており、数行の文章でマナーの解説がされている絵本のような構成なので、30分もかからずサッと読めてしまいます。
絵が一部分かりづらいところもありますが、ティファニーの冊子らしく上品で洗練された雰囲気はドローイングが最適だと思います。逆に写真中心で構成されていたら、白黒写真やテーブルのスタイリングに時代を感じさせ、ここまでロングセラーの本にはなっていなかったでしょう。
スープを吸うとき、スープ・スプーンは、向う側に少し傾けて、手前から向うに動かして、スープをみたします。スープは、スプーンの横または先から吸います。どちらでもよろしいが、音をたてることは禁物。(引用:ティファニーのテーブルマナー)
恥ずかしながら、これまでスープを手前に向かってすくっていました。。。量が少なくなってきたらスープ皿を傾けることは知っていましたが、向こう側に傾けるのは万が一こぼれたときに服が汚れないようにするためということで意味があるということも書かれています。
フォークとナイフの休めの位置も、絵のように間違いがちですが、刃の向きと位置も再確認できました。
他にも、肉と魚料理のナイフも持ち方の違いや、アスパラやアーティチョークの食べ方、フィンガーボールの位置など意外と知らないこともいくつかありました。知識として身につけるには細かすぎず、厳しすぎず、ちょうど良いボリュームです。
ロングセラー本
日本での初版は1969年。50年以上前のため、和訳文は古風な文体で味わいがあります。しかし、テーブルマナーは当時からほとんど変わらず引き継がれているため、世代を超えた共通テーマとして内容は全く色あせません。
あなたが列席しているのは、みんなを楽しくするためです。愉快にふるまって、あなたの役割を果たしてください。陰気は御法度です。(引用:ティファニーのテーブルマナー)
締めくくりの一文が、マナーは食事を楽しむためにあると伝えています。他にも「自然に振る舞うことが大切。飾り気のないあなた自信が良いのです」といったメッセージもあり、テーブルマナーの本質を忘れていないのも好感が持てます。
インテリアやプレゼントにもオススメ
ハードカバーでしっかりとした装丁なので、読むだけでなく、インテリアとして飾ってみたり、贈り物としてあげたりするにもオススメです。ティファニーブルーが映える手元に残しておきたい本です。
日本語版は880円とお手頃です。英語版も他の洋書に比べれば手に入れやすい価格帯です。
オススメ度:★★★★☆(4.0/5.0) created by Rinker Random House Books for Young Readers |