見えなくてもボロボロのベルトはみっともない
ベルトはファッションアイテムの中で外から見えにくい小物です。夏服でタックイン(シャツをズボンの中に入れる着こなし)する時、ノージャケット、ノーネクタイのクールビズくらいでしか表に出てきません。それ故に他のファッションアイテムにはお金をかけてベルトは安物で済ませがち。
しかし、いざベルトがチラリと見えたときにボロボロだったら他のアイテムがどれだけ高級感があってもコーディネートとして台無しになります。
これは私が大学入学前にスーツと一緒に量販店で購入した安いベルトです。3000円もしなかったと思います。もちろん、素材はレザーではなく、合皮。
合成皮革とは
布や不織布の上にポリ塩化ビニールやポリウレタン樹脂をコーティングし、表面を天然皮革に似せたもの。何にでも形を変えるプラスチックって凄いですよね。
合皮のメリットは、水に濡れても問題なく、また汚れにくいこと。また、生産加工が容易のため、品質に個体差が出ません。
遠目からは革の素材感がありますが、匂い、手触り、エイジングなどは再現できません。また、寿命も比較的短いです。
合皮のベルトは4年間使ったらこの通りボロボロになりました。合皮によく使われるポリウレタンは、加水分解(空気中の水分と結合して徐々に劣化する現象)します。つまり、頻繁に着用しようがしまいが少しずつ劣化します。 一般的に合皮の寿命は製造から3年程度。加水分解が進むと、表面がベトベトになったり、最後のほうには写真のようにひび割れが進んでボロボロになります。
天然皮革とは
その名のとおり、人工物ではなく、動物の革を使っているものを天然皮革(本革)と言います。動物の種類、年齢、加工の仕方で値段も風合いも変わってきます。
天然皮革には個性があります。バラキズ、血筋、シボ、シワ(トラ)、ホクロ、クラック、色の濃度の違いなど天然物だからこそ味わえる風合いがあります。これらの個性があるため、たとえ同じ商品でも皮の風合いは異なり、世界に一つだけのものとなります。本革は美しいエイジング(経年変化)を起こして、長い時間をかけて風合いの個性をさらに出していきます。
メリット | デメリット | |
天然皮革 |
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合成皮革 |
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ベルト以外の小物(靴、バッグ、財布など)が本革なのにベルトが合皮では、そこだけ安っぽい見た目になってしまいます。
グレンロイヤル(GLENROYAL)
グレンロイヤル(GLENROYAL)は、1979年創業のスコットランドのレザーブランドです。GLENはゲール語で「谷・渓谷」を表し、ROYALは「王室」を表します。
私が大好きなイギリスブランド。エッティンガー(ETTINGER)、ホワイトハウスコックス(Whitehouse cox)と合わせてグレンロイヤル(GLENROYAL)は英国の御三家と呼ばれるレザーブランドの一つです。
3ブランドともブライドルレザーが代表的な素材ですが、個人的なそれぞれのイメージは
エッティンガー |
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ホワイトハウスコックス |
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グレンロイヤル |
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ブライドルレザーとは
グレンロイヤルが売りにしているブライドルレザーは英国発祥。英国貴族のたしなみである乗馬文化から馬具用として生まれ、1000年以上の歴史があります。成牛の皮をベジタブルタンニング(植物タンニンなめし)で、じっくりと鞣し、蜜蝋や牛脂を手作業で染み込ませる伝統製法が用いられています。革の中でも丈夫さに定評があります。しかし、仕上げまでに数ヶ月を要するため、ブライドルレザーを手掛けられるタンナーは英国でも数社のみ。グレンロイヤルではその中でも厳選した高品質のブライドルレザーのみを使用しています。
GLENROYAL(グレンロイヤル) |ブライドルレザーのベルト 購入レビュー
安物の合成革ベルトがひび割れを起こしたため、楽天通販でセールになっていたグレンロイヤルのベルト(型番:06 5480)を購入しました。
モダンブルーという高級ブランドを扱う楽天ショップで購入。AACD(一般社団法人 日本流通自主管理協会)に所属しているショップです。楽天は偽物ブランド品もつかまされる可能性があるため、こういうのは信頼できます。
ベルトなのであらかじめサイズは測って購入しましたが、タグを外す前に試着して確認しました。
ベルトは真ん中の穴で留める
ベルトは穴が5つありますが、使うのは真ん中の3つ目の穴のみです。ベルトは真ん中以外の穴を含めて余った端の部分がバランスよく収まるようにデザインされているため、「ベルトは真ん中の穴で留める」というのが大原則です。
今回も真ん中の穴でサイズが問題ないか確認しました。私はウエストが73cmで、今回購入したベルトはサイズが30でした。
グレンロイヤルのベルトのサイズ
サイズ | 全長 (cm) | 幅 (cm) | 最長(外側の穴) (cm) | 最短(内側の穴) (cm) |
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28 | 約86.0 | 約2.9 | 約76.0 | 約66.0 |
30 | 約91.0 | 約2.9 | 約81.0 | 約71.0 |
32 | 約96.0 | 約2.9 | 約86.0 | 約76.0 |
34 | 約101.0 | 約2.9 | 約91.0 | 約81.0 |
36 | 約106.0 | 約2.9 | 約96.0 | 約86.0 |
※穴の間隔は2.5cm
30のサイズでジャストフィットか少し緩いくらい。28だとおそらく窮屈なので交換はしませんでした。
包装は安っぽいですが、商品に問題なければ気にしません。
グレンロイヤルの保存袋にベルトが収納されていました。今回購入したベルトは06-5480という型番。
仕様
5つ穴(2.5cmピッチ) バックル 4cm×5.5cm
タグです。右側の文字は検品担当者の名前でしょうか。グレンロイヤルの製品は今でも約25名の職人のハンドメイドによって作られています。
内側はヌメ革で張り合わされています。滑らかな質感ですべりやすいため、ノーストレスでスルスルっと着用できます。
グレンロイヤルのロゴも刻印されています。ハンドメイド・イン・スコットランドがテンション上がります。
バックルはスクエアのピン式(英国製)。フォーマルでスーツに合います。
横のコバもしっかり塗られています。
ベルトの先は尖りすぎず、丸すぎず、ちょうど良い形です。
ベルトのプレメンテ
革製品はお店で展示されている間に乾燥してしまうため、購入したらまず最初にプレメンテします。馬毛ブラシでブラッシングして、デリケートクリームを塗り込み、ネル生地で拭いて輝かせます。
ブライドルレザーのため、届いたときはロウが白っぽい粉として浮いていましたが、ブラッシングとクリームの磨き上げでピカピカに黒光りするベルトになりました。地味だったのが一気に高級感が増しました。
保存袋とタグは大事にとっておきたいと思います。
着用してみました。本物のブライドルレザーは輝きに高級感がありますね。これでやっとボロボロのベルトとはおさらばです。
評価・レビュー
良いところ
イタリアブランドのような派手さはありませんが、オールドクラシックな古き良き佇まいです。お国柄が現れますね。
合皮の安いベルトにはない革のしなやかさと表面の艶・輝きがあり、見た目だけでも明らかに違います。近くで見て、触って、着用してみるとよく実感できます。
合皮ベルトは使えば使うほどボロボロになる一方ですが、ブライドルレザーのベルトは使うほど味が出て格好良くなります。耐久性も高く、長く愛用できそうです。
イマイチなところ
グレンロイヤルはハンドメイドのため、ステッチなど細かい部分がどうしても機械仕上げに比べて雑になりがち。私の購入したベルトはステッチの曲がりなどはありませんでしたが、機械仕上げの安いベルトに比べると精密性に劣るため、商品に個体差があるかもしれません。それがハンドメイドの味といえば味なので、気にしないかもしれませんが。。
定価2万円前後で決して安くはありませんが、十分その価値はあると思います。
薄いキズならクリームを塗れば目立たずに消えます。色の補色もクリームを使えばできますので、レザーグッズのメンテナンスに慣れていれば、定期的にケアして長く愛用できます。合皮には出せないエイジングによる味もこれからが楽しみです。
グレンロイヤルは小物も良いですが、トートバッグやブリーフケースもオススメです。