gabo(ガボ)
gabo(ガボ、gabo napoli)は1925年ジュゼッペ・ニコーテラ氏がナポリのサルトの聖地カサルヌオーヴォで創業。その祖父から大きな影響を受けた、現当主でいとこ同士のジャンフランコ氏とジュゼッペ氏が1994年に工場を設立。トップメゾンの下請けとして実績を積んだ後、2013年にプライベートブランドとしてデビューさせた。
ナポリへの憧れ
質実剛健な印象のイギリスブランドとは対極を行くイタリアブランド。イタリアでも北イタリアはモダン、南イタリアはクラシックとそれぞれ特徴があります。
南イタリアのクラシックファッションの中心地といえばナポリ。Cesare Attolini(チェザレ アットリーニ)を筆頭に名だたる名門ブランドが顔を揃えています。
イギリスからクラシックファッションの入口に入った私ですが、今ではイギリスブランドと同じくらいイタリアのブランドも大好きです。その中でもナポリのブランドは別格で、雑誌やSNSでナポリ製の服を見る度に、ナポリへの憧れが強まっていきました。
今年は運良くナポリ製のシャツを購入することができ、その着心地や作りに感動してさらにイタリアブランドの沼にはまっていますが、最低でも10万円以上するジャケットやスーツはそうそう手に入れられるものではありません。
ナポリ仕立てを味わえるブランド「gabo(ガボ)」
日本ではLARDINI(ラルディーニ)、TAGLIATORE(タリアトーレ)、De Petrillo(デ ペトリロ)といったブランドがイタリアブランドのジャケット・スーツとして人気のため、gabo(ガボ)はマイナーなブランドかもしれません。
しかし、他のイタリアブランドよりも手縫い工程やナポリに特徴的な仕立てが多く、かつ価格帯は数十万円するような本格的なナポリブランドに比べてお手頃という、ナポリ縫製を味わう入門ブランドとして注目されています。
ナポリ仕立ての特徴
- ワイドラペル(8cm〜10cm)
- ハンドステッチ(手縫い、ダブルステッチ)
- 副資材を取り除いたナチュラルショルダー
- マニカカミーチャ(雨降り袖、長めの生地をいせこんでギャザーにした肩)
- バルカポケット
- 段返り3つボタン
- 長めの着丈
- 軽やかで美しいシルエット
これ以外にも色々な特徴があるかと思いますが、これらを比較的手軽に味わえるのがgaboの特徴です。
gabo(ガボ) 春夏リネンジャケット「TOTO」
いつか欲しいと思っていたナポリ製のジャケット。この夏に運良く破格の価格でGLADD (グラッド)でgaboのジャケットを購入することができました。
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今回購入したのはこちらのリネンジャケット。春夏らしい爽やかなオリーブ色です。少し派手で似合うか心配でしたが、問題ありませんでした。
ユナイテッドアローズで定価約13万円で販売されていたものを、セールで27000円で購入。
ラペル幅は9cm。クラシックのディテールを見慣れるとモードで現代的な細いラペルよりもこういう太いラペルが安心します。
胸ポケットは湾曲につり上がっているバルカポケット。ラペル、ポケット、サイドベンツ等、多くの箇所がダブルステッチと呼ばれる並行の2本のステッチになっており、全て手作業で縫われています。
シングルの段返り3つボタン。サイドベンツ仕様。
セレクトショップで人気のモデルは「NEW NAPOLI」というモデルですが、こちらは「TOTO」というモデルで、のぼりから肩線の高さが1cmほど高いのが特徴。ゴージラインはそこまで高くないです。
肩ラインはシャツのように内側に入り、より丸みのあるナチュラルショルダー。長めの生地をいせこんでギャザーにした「マニカカミーチャ」はシャツでも良く見るナポリの仕立ての代表的存在です。
フラワーホールは大きく、ボタンホールも含めて全て手縫い。とても丁寧な手作業です。
ジャケパン用のジャケットやカジュアルジャケットは蓋がなくて丸みが特徴のパッチポケットになっていることが多いです。
リネン60%、ウール40%のウール混素材。リネン100%だとゴワゴワして着心地が硬く、シワシワになりやすいですが、ウールを混ぜることで柔らかい手ざわりと着心地、そしてシワが寄りにくく、着た後はハンガーに吊すだけである程度シワが伸びるようになる利点があります。
裏地はビスコース100%。ビスコースはシルクの様な光沢があり、見た目や肌触りが良く、テロンとした落ち感の素材です。
裏地にもポケットがたくさん付いています。
上襟もダブルステッチ。首の後ろ、のぼりの高さが特徴的です。
裏地は一部のみで背抜き仕様。通気性が良いです。「Made in Napoli」のタグを見る度に気分が上がります。残念ながらハンガーは純正品ではありませんでした。
袖口のお直しのこだわり
高級ブランドのジャケットはその人の腕のサイズに合わせるためにあえて長めに作られており、「アンフィニッシュ」と呼ばれる袖口が未処理の状態で販売されています。このジャケットも例にもれず袖口は糸止めのみでボタンは後付けする必要がありました。
袖口のお直しは「本切羽」と「開き見せ」の2種類があります。
開き見せはボタンを縫い付けるだけで、袖口を開くことはできません。本切羽は袖口にボタンホールの穴を開けるため、再度のお直しが不可となりますが、ボタンの付け外しが可能です。本切羽のほうが処理に手間がかかるため、値段が高いです。「本切羽=高級で本格派」と言われることもありますが、服好きでなければそんなディテールは気にしていないので、好みやこだわりで好きなように選べば良いと思います。
また、ボタンのつけ方も、ボタンとボタンの距離を重ねるか離すか、ボタンの数などいくつか仕様を選ぶことができます。
このジャケットは「本切羽」「3つの重ねボタン」「袖口から最初のボタンまでの距離3.5cm」にしました。ハンドステッチがあったため、追加料金を取られて9000円ほど。普通のお直し屋さんなのでボタンホールがここだけミシン縫いになるのはちょっと残念ですね。
私はスーツは4つボタン、ジャケパン用のジャケットやコートは3つボタンと決めていますが、ボタンの数は好みです。
試着したときの写真は袖口が未処理ですが、参考まで。
初めてのナポリジャケットですが、羽織ったときに感じるジャケットの軽さと全くストレスのない着心地の柔らかさにとても感動しました。「高級ジャケットは着心地が違う」というコメントを見たことがあり、今まで半信半疑でしたが、その意味がよくわかりました。
10万円台でナポリジャケットの中では比較的安価なブランドですが、手縫い箇所がとても多いです。(アームホール、上襟付け、ボタンホール、ボタン付け、パッチポケット、バルカポケット等)
ナポリのジャケットを象徴するデザインに細身のシルエットで都会のモダンさを融合させています。着丈も短めでスポーティーな印象です。
良いジャケットは首に吸い付く上襟が特徴的。肩先へと向かうライン、肩山、胸のドレープまでジャケとの立体感が安いペラペラのジャケットとは明らかに異なります。
着心地に大きく関わる袖付け(アームホール)、襟付け、芯地付け、ポケット、ボタンホールなど、10箇所以上にハンドの工程が施されており、温もりのある美しい表情を作り出しています。
世界に名だたるイタリアブランドのジャケットは20万以上しますが、gaboは10〜15万円ほどとナポリ製のジャケットの1着目としてふさわしいブランドです。細身体型の方にオススメです。
ナポリ仕立てのジャケットの良さは着てみてこそ分かります。gaboはパターン(柄)も種類豊富なので、ぜひ通販やセレクトショップで探してみてください。