靴べら(シューホーン)を使う意味、重要性
お店に行くと置いてある靴べら(シューホーン)。一体どのくらいの人が使っているのでしょうか。「屈まなくていい、足を入れやすい、靴を楽に履ける」という機能面から便利グッズとして使っている人は少なくないかもしれません。靴べらは使う人にも使われる靴にも優しい道具です。
靴を長持ちさせる(型崩れ、摩擦の防止)
靴の種類に関わらず、靴べらを使わずに足だけでグリグリ押し込んで履く履き方は、靴のかかとに相当な負担が掛かってしまいます。
かかとは足をしっかり固定し、フィット感を高める重要な部位です。そこに上から履きつぶすように圧力をかけると型崩れしてしまい、フィット感を損なうことになります。大切な靴の見た目を悪くし、寿命を短くさせるだけでなく、自分の足を痛める原因にもなります。
靴を履く所作を美しくする
かかとを踏み潰して、つま先をトントンするのは靴にとって最悪の履き方です。指を使って履くほうがまだマシですが、所作は美しくありません。
靴べらを使い慣れていれば、素早く簡単に靴を履けるだけでなく、靴を履く所作を美しく見せます。「そんなもの誰も見ていない」と思いそうですが、靴好きはもちろん、意外とそういう一つ一つの細かい所作を見ている人はいると思います。
靴べらの素材、長さ
靴べらの素材はプラスチック、木材、金属、皮革など様々です。機能の差がないように見えて、意外と細かい使い心地は異なります。長く使うものだからこそしっかり選びたいところ。
プラスチック | 軽くて安いので手を出しやすい。見た目は無機質で安っぽい。滑りやすさは普通。正しく使えば耐久性もそれなりにあるのでコスパ最強。 |
木材 | 玄関用の長い靴べらが豊富に種類がある。日本製のしっかりしたものなら高級感もデザインも優れている。使い心地や耐久性を左右する厚み、滑りが職人の技術などクオリティに左右されやすく、水牛より取扱い業者が多く、その分当たり外れが大きい。 |
金属 | ステンレス、アルミ、真鍮が主原料。手頃な価格で高級感がある。他の素材より重い。割れないが、使い方次第で曲がる可能性有り。 |
皮革 | デザインが豊富でお洒落。携帯用靴べら用。滑りやすさに欠ける。靴べらは使用頻度が高いためすぐに傷む。経年変化といえば聞こえは良いが、見た目や機能性を損なうと元も子もない。そのため、最近はかかとを当てる部分が金属で、収納部分が革のものが多い。 |
水牛 | 高級感がある。厚みがあるが、職人の磨き技術で凹凸をなくし、摩擦を減らすことで滑りやすさを損なわない。耐久性も十分。取扱いが少なく価格が高い。人によってはプラスチックと見間違える人もいるかもしれない。天然物なので良くも悪くも一つとして模様が同じものはない。 |
長さも好みですが、玄関用と携帯用1本ずつ持っておきたいですね。
長い(50cm以上) | 玄関用。立って靴を履きたいならこっち。人に見せるか見せないかで選び方も変えたい。 |
中(30cm前後) | 玄関用。長い靴べらと使いやすさや好みで選ぶ。 |
短い(10cm前後) | 携帯用。長い靴べらより価格は抑えられるので、人に見られる分、見た目にこだわりたい。 |
正しい靴べらの使い方
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靴べらの正しい使い方は、垂直に入れることです。斜めに入れがちですが、そうすると足の重みで靴べらが割れたり、靴のかかとに靴べらが当たって靴べらを使う意味がなくなったりします。
プラスチックや木製の靴べらが割れる原因は使い方が悪い場合が多いと思います。実際、私もダイソーで買ったプラスチックの靴べらをこれで割りました…。
ABBEY HORN(アビホーン)
Abbey Horn(アビホーン)は1749年にウスターシャーで牛や牡鹿の角の彫刻品メーカーとして創業しました。1912年にイングランド南西部グロスターシャー州に移り、プラスチック、大量生産の時代においても、270年以上前の創業当時の製法をそのままに、熟練の職人がハンドメイドで高級角製品を作り上げています。
靴べらは英語でシューホーン(靴・角)。靴べらの元祖素材は角でした。アビホーンでは、食肉用の畜産水牛の角を使い、職人が丁寧に削り出し、磨きを施すことで、プラスチックには真似できない高級感、光沢、温かみのある手ざわりが生まれます。絶滅の恐れのある野生動物の角は一切使用していません。また、天然の角を使用しているため、一つ一つの模様や天然のキズが異なり、一つとして同じものはありません。
現在では安価なプラスチックに置き換えられてしまい、本来の良質な「シューホーン」が手に入りにくくなっています。イギリスではアビホーンが唯一の角の彫刻メーカーです。
ABBEY HORN(アビホーン)携帯用靴べら(10〜11cm)・ブラック系 購入レビュー
就活を機にダイソーでプラスチックの靴べらを購入して使っていたのですが、正しい靴べらの使い方を知らずに、斜めに靴べらを入れてバキッとヒビを入れてしまったので、プラスチック靴べらは廃棄して今までずっと欲しかったアビホーンの靴べらを購入しました。
購入したのは携帯用靴べら(10〜11cm)・ブラック系です。
私が購入した楽天ショップでは取り扱い終了しているため、こだわりの一生モノを取りそろえている通販サイト「ZUTTO」でアビホーンのシューホーンの正規品を購入するのがオススメです。
アビホーンの靴べらは一つ一つの模様が異なりますが、大きく「ホワイト系」「ミックス系」「ブラック系」の3つに色分けされており、サイズは3種類。
- 10cm:最大幅約4×長さ約11.5(cm)
- 25cm:最大幅約5×長さ約25.5(cm)
- 35cm:最大幅約4.5×長さ約37(cm)
ミックス系と迷いましたが、男らしいシックな黒に金色のロゴが格好良いブラック系を選びました。
- サイズ: 最大幅約4×長さ約11.5cm(革紐を含まないサイズ)
- 重さ:約20g
- 素材: 牛の角(革紐は牛革)
- 製造国: イギリス
取扱い注意事項に、使う前にぬるま湯とマイルドな石けんで洗えと書いてあるので、洗いました。
付属品は牛革の紐のみ。乾燥してパリパリに乾いていたので、デリケートクリームを塗り込みました。
黒色の中に、うっすら青白い線や薄茶色の模様が見えます。
裏側は黒色に映える金色のロゴマーク。この背面のデザインが好きでブラック系にしました。
職人による削り出し、磨きがとても丁寧で、角もしっかり左右対称で丸みを帯びています。手ざわりが優しく、手に馴染みます。
見る角度や光の当たり方で模様の表情が変わるので、じっくり眺めていても飽きないです。
先端はかかとにフィットするように湾曲しています。
厚みは2.5mmくらい。他の素材の靴べらより厚みがありますが、極限まで磨き上げ凹凸をなくすことで摩擦を小さくしており、滑りは最高です。
手で曲げてみましたが全く曲がる気配はなく、木製やプラスチックに比べると丈夫そうです。
何よりこの高級感がたまらない。
靴への足入れがスムーズで、とても気持ち良く靴が履けます。そしてこの後から見た時のロゴが格好良い。
水牛の角の艶を生かした見た目の美しさと、スムーズに靴を履ける実用性の高さ、文句のつけようがありません。
「世界に一つだけの模様を持った一点物のシューホーン」というだけで所有欲をくすぐります。ホワイトハウスコックスの革靴べらはお洒落な方に人気で知名度もありますが、アビホーンの靴べらは知る人ぞ知る英国ブランドという感じでそれもまた良いです。
このサイズなら5000円以内で購入できるので、プレゼントにもありだと思います。ブラック系は金ロゴが格好良く、一目で天然の牛角と分かるミックス系は模様を楽しめます。ホワイト系は女性へのギフトにもぴったりです。
なくさなければ一生使うモノにになるので、5000円は安い投資です。大事に使い続けたいと思います。