J.M. WESTON(J.M. ウエストン)
J.M. WESTON(J.M. ウエストン)は、革なめしと加工の歴史深いフランス、リモージュ地方で1891年にエドゥアール・ブランシャールが創業した靴工場から始まった革靴ブランド。マサチューセッツ州ボストン近郊のウエストンという町でグッドイヤーウェルト製法を学んだエドゥアールの息子のユージェーヌが、パリでジャン・ヴィアールと出会い、ジェイエムウエストンの名を商標登録し、クルセル大通りにパリ1号店、1931年にシャンゼリゼ通り114番地に2号店をオープンしました。
1946年に発表した「Signature Loafer #180(シグニチャーローファー #180)」は、1962年にシャンゼリゼ大通りのドラッグストアにたむろする「Bande du Drugstore(ドラッグストアのギャング)」と呼ばれる若者達の”ジーンズにローファーを履くスタイル”が火付けとなり、スタイルや時代に捕らわれず、個性を表現する自由を与えるアイテムとして、フレンチエレガンスのアイコン的存在になりました。
1993年に東京に進出し、現在は世界に51店舗を展開しています。また、フランス共和国親衛隊のためのブーツも手がけています。
J.M. WESTONのクラフツマンシップ
J.M. WESTONのレザー
J.M. WESTONは、自社で植物タンニンなめしのソール用レザー工場を所有する唯一のシューメゾン。リモージュ近郊のサン=レオナール=ド=ノブラにあるタナリー・バスタンの地で1806年に創業したBastin & Fils(バスタン & フィス)社を1981年に傘下に入れ、伝統的な植物タンニンなめしの技法でつくられる耐久性の高いソールレザーを独占生産しています。
原皮は最も密度が高く硬い「ベンズ」と呼ばれる中央部分のみを選び、8〜10か月間のなめし(タンニング)など様々な工程を経るため、J.M. WESTONの製品に使われるソールレザーを仕上げるだけでも約1年かかります。
J.M. WESTONの靴作り
リモージュの工房で行われるJ.M. WESTONのグッドイヤーウェルテッドのレザーソールのコレクションには、約200名の職人が携わっており、一足の靴の生産に、皮革の裁断、アッパーの縫合、組み立て、手仕上げなど150以上の工程と約2か月の歳月をかけています。
【レビュー】J.M. WESTON|名品「#180 シグニチャーローファー」
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フレンチスタイルの歴史と深い繋がりのある、J.M. ウエストンの1946年誕生のアイコンモデル「Signature Loafer #180(シグニチャーローファー #180)」。
ファッション界隈ではあまりに有名な名品。私も「初めての高いコインローファーを買うならJ.M. ウエストン!」と心に決めていつか買おうと憧れていました。当時は定価11万円前後だったと記憶していますが、昨今の円安と物価高の影響であれよあれよと価格が上がったため、2025年9月に意を決して購入することにしました。
通販で並行輸入品を買うほうが安いのですが、シグニチャーローファー #180はサイズ合わせがシビア。試着せずに買うのはリスクが大きいと思い、東京出張の機会に試し履きのためにJ.M. WESTON 青山店を訪問しました。
サイズだけ確認するつもりが、何度もサイズ違いを履き比べて店員さんに付き合ってもらったのもあり、そのまま流れでシューツリーとセットで購入していました。。
メキシコに持って帰るつもりは無かったので、購入した180とシューツリーは実家へ郵送(有料)してもらいました。また、公式ブティックならではのサービスで、郵送前にクリームを塗ったりとプレメンテを無料でしてくれました。
そして年末帰国時に段ボールの中に丁寧に梱包されて届いていたJ.M.Westonの青箱とご対面。靴袋に包まれていました。
#180 シグニチャーローファーのディテール
#180 シグニチャーローファーは、誕生からずっと同じラスト(木型)#41を採用し、現在でもリモージュの工場でグッドイヤーウェルト製法とベジタブルタンニンなめしのソールを用いて、職人による約150の手作業工程を経て生産されています。
カモメのシルエットの様なサドル(甲の帯状のパーツ)のスリット(サドルの切り込み)、エプロン(エプロンフロントダービー:靴の甲前部(ヴァンプ)にU字やV字の切り替えステッチが入ったデザイン)のモカ縫いが特徴です。
アウトソールは自社製の黒のレザーソール。J.M.WESTON、MADE IN FRANCE、ウィズの刻印。
靴の内側の刻印
靴の内側に刻印があり、一行目が製造番号。1ケタ目が製造年の末尾1ケタ。この靴は2025年製ということになります。その後に続く数字は製造したその年の週などを意味しているそうです。
二行目がラスト(木型)の41、101がレザー番号(ボックスカーフ黒:101)、180がモデルNo.、1Fがソール種類、三行目にサイズとウィズが表記されています。
中古のウエストンなどは製造番号でいつの時代のものか分かるそうです。
#180 シグニチャーローファー サイズ感
J.M. WESTONの靴は、ハーフサイズごとのレングス(足長)に加え、複数のウィズ(足囲)で展開されています。シグニチャーローファーに関しては、「A~F」の6種類のウィズが揃っており、オーダーなら左右サイズ違いの購入も可能です。
ブティックを訪れると、足型測定器を用いて適切なサイズを提案してくれます。
ウエストンの靴のサイズはモデルによっても異なるため、単純に他ブランドと同じUKサイズを選べば良いというわけではありません。#180 シグニチャーローファーに関しては通常のUKサイズの1サイズダウンが目安になります。
私の場合、実測25.5cmの足長で、CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)のタッセルローファーはUK7(25.5cm~26.0cm)、ウィズEですが、ウエストンの180の足長は6です。

足が窮屈に感じるジャストサイズである必要は無い
ローファーは脱ぎ履きが楽な反面、靴紐でフィッティングを微調整できないため、甲とかかとでしっかり靴を支えられるよう、サイズ選びがかなり重要となってきます。
それゆえか、#180 シグニチャーローファーに関しては、「万力締め」、「修行」と言って、靴内部の沈み込みや革の伸び・馴染みを考慮して、最初は足が多少窮屈に感じるくらいのジャストサイズを足を痛めながら我慢して一定期間履き慣らしたほうが、後々ジャストフィットになるというサイズの選び方を勧める人もいます。
そんなタイトフィット通説を頭に入れてブティックを訪れました。店員さんに足を測定してもらって提案してもらったのが6Dと6E。足長は一緒で、ウィズが異なります。
9月に訪れたので、薄い夏用のローカット靴下を履いていました。試着してみたところ、6Dは足が締めつけられて少し痛いくらいのタイトフィット、6Eは何のストレスもなく履けて、気持ちかかとがゆるく抜けやすいかなというくらい。
今ではタイトフィットをゴリ押しすることも無いそうで、 6Eで少しかかとがゆるいかもしれないと伝えたところ、靴の内部が沈み込んできたらかかとの抜けも改善されること、それまでは靴下の厚みで調整して履くこともできるということをアドバイスしてもらいました。
何度も履き比べた結果、痛みを我慢して一定期間履き続けるメリットを感じなかったので、6Eを選びました。
トゥスチール付けは不要
すり減りが早いつま先を保護するためにオプションで付けられるトゥスチール。今回購入した180のアウトソール(靴底)が革なので、ゴムのアウトソールよりも耐久性に劣るということもあり、トゥスチールを付けた方が良いか青山店の店員さんに相談してみました。
その店員さん曰く、トゥスチールの取り付けの依頼は受けているが、雨天時などは滑り出しやすくなったり、歩行時に音が鳴ったりと履き心地や見た目に影響が出るため、こだわりが無ければ不要とのことでした。
履き始めはある程度すり減るが、ソールにしなりがついてくると減りは鈍化していき、ソールがすり減ったらつま先だけでは無くソール交換することになるため、店員さん個人はあまりオススメしていませんでした。つま先のすり減りが気になるようであれば、ラバー又はレザーパーツで補強も受けつけているそうなので、それを利用すれば良いと思います。
ということで私もトゥスチールは不要と感じたのでそのままにしてもらいました。
純正シューツリー
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靴の保管にはシューツリー(シューキーパー)が必須。靴用品メーカーで安いシューツリーを購入することもできますが、適正なサイズのシューツリーでなければテンションがうまくかからずに型崩れしてしまいます。
J.M. ウエストンは各ラストに合わせた純正の専用シューツリーを用意しています。サイズだけでなく、ウィズも含めてサイズ展開があります。木型を持っているブランド純正のシューツリーを選んだほうが型崩れの心配が無いですし、ウエストンの場合はウィズまで選べるので、ぴったりのフィット感を求めるなら、高くても純正シューツリーを買う価値があります。見た目もブランドで統一できて良いです。
試着してみた
外が雨だったので、交換直前の畳の上で履いてみました。行儀悪くてすみません。
きめ細かい上質な革質でほんのり光沢もあり、単純に見た目が格好良いです。ずっと憧れていた革靴なので、履いているだけでかなりテンション上がります。
Cウィズが最も美しい形と言われているそうですが、確かにこのEウィズよりもう少し細い方がスタイリッシュな見た目になりそうです。
スーツでしっかりタイドアップする時以外、雨の日以外は年中履ける汎用性の高さがローファーの良いところ。フレンチスタイルっぽくジーンズに合わせると最高です。
お手入れ
他の革靴同様、着用後はブラッシングしてシューツリーを入れ、最低1〜2日休ませることを公式も推奨しています。あとは定期的にクリーナーとクリームでお手入れ。180ローファーはこのままの雰囲気も良いので、つま先にワックスを付けて光沢を出すかどうかは好みですね。
ソールレザーの修理・交換
J.M. WESTONの革靴はグッドイヤー製法またはブレイク製法が用いられているため、ソールを交換しながら長く履くことができます。ソールを取り替えるオールソール修理は、リモージュの工房で行われます。また、工房内には修理専用のアトリエもあり、ブティック経由で修理を依頼することも可能です。ただし、純正以外で修理されている靴は受けつけてもらえないので、基本的に修理はウエストン公式にお願いする形になります。
- オールソール:33,000円〜(グッドイヤーは37,400円〜)
- 納期:通常2カ月〜。
コインローファー買うならこのモデルは外せない
いろんなブランドがコインローファーを出していますが、高いお金を払って良いものを買うなら、やっぱりこのJ.M. WESTONの#180 シグニチャーローファーは外せません。
だいぶ値上がりして手が出にくくなりましたが、この品質を維持するなら今後価格が下がることは無いと思うので、まだ持っていない方は今が最安と自分に言い聞かせて飛び込むのをオススメします。それくらい良い名品です。
| オススメ度:★★★★★(5.0/5.0) |



























