Our Lady of Solitude Sanctuary
2024年9月。メキシコ第二の都市グアダラハラを出張で訪れたついでに、1泊2日で観光してきました。
グアダラハラ(Guadalajara)
グアダラハラ(Guadalajara)はメキシコ、ハリスコ州の州都。北のモンテレイと並んで都市圏人口が500万人以上の大都市でメキシコ第二の都市とされています。メキシコシティが日本の東京ならグアダラハラは大阪といった立ち位置でしょうか。メキシコの中では比較的治安が良く、日帰りで行ける距離にテキーラ村もあるので、他の観光都市と併せてぜひ訪れて欲しい街です。
私が住むアグアスカリエンテスからは車で約3時間。道中の高速道路もしっかり舗装されていて運転しやすく、昼間は車両強盗など危険な目にあうこともありません。
1泊2日のグアダラハラ観光一人旅
1日目
サポパン大聖堂(Basílica de Nuestra Señora de Zapopan)
グアダラハラ市内中心地から車で20分ほど離れて北に位置するサポパン市。街のシンボルでもあり、多くの巡礼者が訪れるサポパン大聖堂(Basílica de Nuestra Señora de Zapopan)を訪れました。
スペインの植民地化によりフランシスコ会の宣教活動が始まり、大聖堂は1689年から1730年にかけて、正面の塔も含めると改築などを経て1890年に完成しました。約200年かけて建築されたため、様々な建築様式が混在しているのが特徴です。
祭壇には、フランシスコ会修道士たちがミチョアカンの職人に依頼して製作し、1541年に持ち込まれたサポパンの聖母像があります。
毎年10月12日に行われるメキシコで3番目に重要な巡礼であるサポパンの巡礼では、信徒がグアダラハラ大聖堂からサポパン大聖堂まで約9キロの道のりを巡礼します。この巡礼は2018年にユネスコ無形文化遺産に登録されています。
サポパン大聖堂の前の広場では、9月16日のメキシコ独立記念日の数日前だったので、イベントに向けて露店や飾り付けの準備が行われていました。
カフェ:Matraz Café
仕事のお客さん訪問前に昼食で「Matraz Café」というカフェに立ち寄りました。グアダラハラはレベルの高いコーヒー専門店が多く、私のようなコーヒー好きにはたまりません。
こちらのカフェはサポパン大聖堂やグアダラハラ北西エリアの高級住宅街の近くにあるので、落ち着いた雰囲気です。
ドリップコーヒーとローストビーフサンドイッチを注文(チップ込み180ペソ、1400円)。
ホテル:Hotel Real Maestranza
仕事を終えてホテル「Hotel Real Maestranza」にチェックイン。観光スポットのセントロから徒歩圏内で1泊素泊まり1,130ペソ(約9,000円)。グアダラハラのホテルは他都市より安いです。
入口や駐車スペースが少し狭めですが、駐車場もあり、部屋も清潔でオススメです。
デゴジャド劇場(Teatro Degollado)
建築家ハコボ・ガルベスにより1856年に建設が開始し、1866年9月13日に開館したデゴジャド劇場(Teatro Degollado)。柱廊の上には彫刻家ベニート・カスタニェダ作がトラバーチン大理石で「アポロとミューズたち」が彫られ、「Que nunca llegue el rumor de la discordia(不和(争い)の兆候が来ませんように」という銘文が刻まれています。
現在もコンサートや劇の会場として使われており、また、ハリスコ・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地でもあります。
グアダラハラのモニュメントとイダルゴ像
デゴジャド劇場とグアダラハラ大聖堂の間にある解放広場(Plaza de la Liberación)にはグアダラハラの文字モニュメントと、メキシコ独立運動の指導者、ミゲル・イダルゴの像があります。
ハリスコの偉人に捧げるロタンダ(Rotonda de los Jaliscienses Ilustres)
グアダラハラが属するハリスコ州出身の偉人に捧げて、1956年に建築家ビセンテ・メンディオラによって建てられたロタンダ(円形建物)。 上部には「Jalisco a sus hijos esclarecidos(ハリスコ州からその輝かしい子孫たちへ)」という一文が刻まれています。記念碑の中央には火鉢があり、98の著名人の遺骨の骨壺が壁龕に収められています。 記念碑のまわりにも偉人像が22体あります。
ハリスコ州市庁舎(Palacio de Gobierno del Estado de Jalisco)
アルマス広場に面した新古典派様式の「ハリスコ州市庁舎(Palacio de Gobierno del Estado de Jalisco)」。1810年にメキシコ独立の指導者ミゲル・イダルゴがグアダラハラに進軍、新政府を設置し、この官邸で奴隷解放宣言(奴隷制廃止の勅令を発布)しました。
市庁舎には無料で入場でき、内部にあるメキシコの画家オロスコが1937年に制作した「立ち上がる僧侶イダルゴ(Hidalgo incendiario)」の巨大な壁画が見どころです。
残念ながらこの時は独立記念日イベント前で閉鎖されており、入場不可でしたので、またリベンジします。
グアダラハラ大聖堂(Catedral de Guadalajara (Catedral Basílica de la Asunción de María Santísima))
グアダラハラのシンボルである「グアダラハラ大聖堂(Catedral de Guadalajara)」。メキシコにおけるカトリック教会の主要な聖堂の一つで、グアダラハラ大司教区の常任司教座であり、「聖母の被昇天(聖母マリアがその人生の終わりに、肉体と霊魂を伴って天国にあげられたという信仰)」に捧げられています。

1561年に当時のスペイン国王フェリペ2世の指揮で建設が開始された最初の建物(教会)が火災に遭い、現在の場所に移って1618年に聖堂が建てられました。その後も地震による崩壊で度々改修を経て現在に至ります。
バロック、新古典主義、ゴシックなど様々な様式が混ざっていますが、グアダラハラから南に位置するサユラの街で作られた黄色いタイルで飾られたネオゴシック様式の塔が特徴的です。
内部には、3つの小礼拝堂と、絵画が飾られた9つの祭壇があります。
主祭壇は大理石と銀で作られ、フランスから輸入されたステンドグラスが美しいです。
アルマス広場(Plaza de Armas)
グアダラハラ大聖堂の南にある「アルマス広場(Plaza de Armas)」。 地元民で賑わっており、噴水と一緒にグアダラハラ大聖堂を撮ることができます。
グアダラハラ公立図書館(Biblioteca Iberoamericana Octavio Paz)
旅行中にその土地の特徴的な図書館があると必ず寄っているのですが、たまたまマップで見つけた公立図書館がとても良かったので、ぜひグアダラハラ観光の際は訪れてみてください。
スペイン語では「イベロアメリカ図書館」という名前で、1991年に開館してグアダラハラ大学に属しています。後にメキシコ人の詩人、批評家、外交官であったオクタビオ・パスの名が加えられました。
入口で身分証明書チェックをして、ロッカーに荷物を預けてカメラだけ持って入場。
16世紀にイエズス会によって設立された聖トマス・アクィナス学院の建物がもとになっており、中央身廊の閲覧室には壁画が描かれています。約50,000冊を所蔵しています。
夕食:La Chata de Guadalajara
メキシコでも各都市のローカルフードがあり、ここグアダラハラで地元料理を食べるならココとオススメされた「La Chata de Guadalajara」というお店で夕食。
- 「Torta ahogada(トルタ アホガダ)」:グアダラハラ発祥。バゲットにお肉の具がたっぷり挟まっていて、トマトソースに浸っている料理。
- 「Pozole(ポソレ)」:メキシコ全土で食べられるメキシコ料理ですが、ここのポソレが美味しいというレビューを見て注文。
- 「Jericalla(ヘリカジャ)」:クリームブリュレに似たハリスコ州発祥のデザート。
3品注文。Torta ahogadaはボリューミーで思いのほかお腹にたまりました。少し酸味のあるトマトソース。グアダラハラに来た記念として食べておきたい料理ですが、味は普通です。
Pozoleは定番の鶏肉とトウモロコシが入った優しい味わいのスープで美味しいです。キャベツ、玉ねぎ、ラディッシュを入れて食べます。トウモロコシがお腹にたまりますが、味はとても美味しいです。
そしてデザートのJericalla。クリームブリュレのようなカスタードクリームとカラメルのデザートで、プリンより少し固めの食感。甘みが強めですが美味しいです。
観光客向けなのか値段は少し高めで、合計355メキシコペソ(2,800円)。
サンフランシスコ・デ・アシス修道院・教会(Templo y Convento Franciscano de San Francisco de Asís)
フランシスコ会(フランチェスコ会)の創設者として知られるカトリック修道士、アッシジのフランチェスコに捧げられた修道院・教会。1580年頃に建てられた建物を何度も再建して今に至ります。
バロック様式のファサードは、 ソロモンの柱、無原罪の御宿りの像、メキシコの鷲、側面には聖ドミニコと聖フランチェスコの彫刻があります。
アランサス聖母教会(Templo de Nuestra Señora de Aranzazú)
サンフランシスコ修道院の一部として1749年から1752年の間に建てられました。6つの礼拝堂のうちの1つでしたが、他は取り壊され、唯一残った礼拝堂となっています。
修道院・教会の目の前のサン・フランシスコ庭園では、独立記念日に向けた露店が並んでおり、広場では社交ダンスが行われていました。
セントロ夜景撮影
日が暮れたので、1日目にまわったセントロの観光スポットを再度まわって夜景撮影。
独立記念日にあわせてメキシコの国旗の色にライトアップされていました。
慈悲の聖母教会(Templo de Nuestra Señora de la Merced)
1721年に完成したバロック様式の教会。慈悲の聖母マリアを含む3つの聖母マリアの像が飾られています。
2日目
聖体聖堂(贖罪教会、Parroquia El Expiatorio Eucarístico)
聖餐(聖体の秘跡)に捧げられたカトリック教会の聖堂。メキシコシティのベジャス・アルテス宮殿や郵便局の計画にも関わったイタリアの建築家アダモ・ボアリが設計し、1897年に着工して1972年に完成しました。
ネオゴシック様式で彫刻された石で作られており、大きな木製の扉、巨大なステンドグラスの窓が特徴です。
朝食:Café palReal
美味しいスペシャリティコーヒーが楽しめるお洒落カフェ「Café palReal」で朝食。メキシコ人の朝は遅いので、開店30分後の8時半に着いても空いていました。
HARIOのV60で淹れたドリップコーヒー(90ペソ+スペシャルティコーヒー追加20ペソ)、ビーフオムレツ(190ペソ)、合計330ペソ(2,600円)。
お店で使っているコーヒー豆を1階で売っており、飲んだコーヒーがとても美味しかったのでお土産に購入しました。
ミネルヴァのロータリー(Glorieta de La Minerva)
グアダラハラのシンボルの1つ、彫刻家ホアキン・アリアスによるローマ神話の女神ミネルヴァの像と噴水があるロータリー。
グアダラハラ大学美術館(MUSA Museo de las Artes Universidad de Guadalajara)

1994年に開館したグアダラハラ大学美術館(MUSA Museo de las Artes Universidad de Guadalajara)では、見どころの講堂のドームと壁に描かれたオロスコの壁画のほか、国内外の現代美術作品を鑑賞することができます。
残念ながらこの時は講堂が工事中でオロスコの壁画は見ることができませんでした。
オスピシオ・カバーニャス(Museo Cabañas)
オスピシオ・カバーニャス(Hospicio Cabañas、Museo Cabañas)は、グアダラハラ司教により1810年に開館した孤児、身体障害者などの恵まれない人々を保護するために建設された救貧施設。
新古典主義の建造物で、1938年から1939年にかけてメキシコの画家ホセ・クレメンテ・オロスコによって制作された57枚の壁画が収蔵されています。中でも主礼拝堂の天井に描かれた「炎の人」は最高傑作とされています。
1980年に芸術普及のための博物館に改装され、オロスコ生誕100周年の1983 年に文化センター・博物館として再オープン。1997年にユネスコの世界遺産に登録されました。
入場料80ペソ(カード払い可)。
礼拝堂に入ると圧巻の壁画たちが荘厳な雰囲気で出迎えてくれます。特にドームに描かれた「炎の人」は迫力があり、グアダラハラの観光スポットで一番の見どころといっても過言ではありません。
「メキシコの壁画運動」の中心となったオロスコが、スペインの到来・侵略の様子を中心にメキシコ古来の文化や歴史を描いています。
オスピシオ通り
オスピシオ・カバーニャスと大聖堂などがあるアルマス広場までを繋ぐ1本の大通りはオスピシオ通りと呼ばれており、噴水のある広場や商店街通りになっています。
トラケパケ(Tlaquepaque)
トラケパケ(Tlaquepaque)は、グアダラハラ中心から車で南東に20分ほどの場所にある小さな街。陶器やガラス細工が特産品で、お土産ショップが立ち並び、また、マリアッチ発祥の地としても知られています。
サン・ペドロ教区教会(Parroquia San Pedro Apóstol)
トラケパケの守護聖人、聖ペテロに捧げて1813年に完成した教区教会。
孤独の聖母聖堂(Santuario Nuestra Señora de la Soledad)
フランシスコ会によって1878年に完成した聖堂。主祭壇に孤独の聖母(キリストを失って嘆く、喪服の聖母マリア)が掲げられています。
トラケパケ(Tlaquepaque)の街を散策
トラケパケの中心、イダルゴ庭園から続く通りは、彫刻アートやお土産屋さんが立ち並び、観光客も多く平和な雰囲気です。特産品の陶器やガラス細工のほか、メキシコの革製品やリキュールといったお酒などのお土産を買うことができます。
革製品のお店①:Alejandro Yeo Marroquinería
カフェ兼お土産ショップ:CAFÉ CASA INDEPENDENCIA
こちらのお店も可愛い革製品を多く取りそろえており、中にカフェも併設しているので、写真は撮っていませんが、アイスラテをいただきました。
テキーラ・リキュールショップ:Las Once Letras
グアダラハラの近くにテキーラ村があるため(今回は行かずに、年末に訪問しました)、テキーラやリキュールもお土産にオススメ。
私はこちらのお店でハマイカ(ハイビスカス)とグラナダ(ザクロ)のリキュールを自分用のお土産に買って帰りました。お店で試飲もできます。
西部の真珠、グアダラハラ
メキシコではその美しさから「西部の真珠」とも呼ばれるグアダラハラ。テキーラ村に行く機会があればぜひセットで観光してみてください。
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