Jaeger-LeCoultre（ジャガー・ルクルト）
Jaeger-LeCoultre（ジャガー・ルクルト）は1833年にアントワーヌ・ルクルトがスイスで創業したマニファクチュール（時計のムーブメント（駆動装置）から部品に至るまで、自社で一貫して製造する時計メーカー）。
創設当初は時計部品メーカーで、ルクルト社製の機械式ムーブメントが名だたる高級腕時計ブランドに供給されていました。その後、フランス人時計職人のエドモンド・ジャガーとジャック＝ダヴィド・ルクルトが出会い、1920年代から自社ブランドの時計を発表していきます。
現在はRichemont（リシュモン）グループの傘下ブランドとして名を連ねています。創業以来、スイスのジュウ渓谷に自社工房を構え、設計、開発、装飾、製造まで全工程を自社で行っており、430以上の特許、1,400種類の独創的なキャリバー（ムーブメント）を有しています。
Reverso（レベルソ）
ジャガー・ルクルトを代表するタイムピース、「Reverso（レベルソ）」は、インドに駐在していたイギリス人将校が、ポロの試合中、衝撃に耐え得る腕時計の開発をジャガー・ルクルトに依頼したことがきっかけで1931年に誕生しました。Reversoはラテン語で「反転する」という意味。反転式ケースは、ダイヤル（表面）を格納すると同時に裏面が現れ、ポロ競技のスティックによる打撃からダイヤルを保護することができました。
アールデコの芸術運動の全盛期に誕生したレベルソは、レクタンギュラー（長方形）のケースにゴドロン様式（直線と曲線が組み合わさった装飾デザイン）の3本ラインを上下にあしらい、50以上の部品を搭載し、時を越えても色褪せないジャガー・ルクルトのアイコンモデルとして今も尚その地位を確立しています。
憧れのレベルソを30歳の節目に買おうと思ってたけど･･･
社会人1年目の時に雑誌で一目惚れして以来、30歳の節目で買おうと狙っていた高級腕時計、レベルソ。2019年当時は秒針が無いサイズのミディアムサイズのモノフェイスを検討しており、60〜70万円だったと記憶していますが、あれよあれよと毎年値上げされ、気付いたらミディアムは販売終了になり、現行のラージサイズのモノフェイスと比較すると価格が2倍以上に跳ね上がってしまいました。
そんな状況で、2025年9月末の一時帰国中に東京で宿泊する機会があり、そもそも敷居が高すぎてレベルソの本物を間近で見たことも腕に付けたこともなかったので、ジャガー・ルクルト 銀座並木ブティックに立ち寄ってみました。土曜日の閉店1時間前でしたが、レベルソを検討していることを伝えて、女性の店員さんに丁寧に接客してもらいました。
| シリーズ | レベルソ・クラシック | レベルソ・トリビュート | レベルソ・クラシック |
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| モデル | スモールセコンド | スモールセコンド | モノフェイス |
| サイズ | 45.6 x 27.4mm | 45.6 x 27.4 mm | 35.78 x 21 mm |
| 数字 | アラビア数字 | 植字インデックス | アラビア数字 |
| ケース材質 | ステンレス | ステンレス | ステンレス |
| ムーブメント | 手巻き | 手巻き | 手巻き |
| 価格 | ¥ 1,645,600 | ¥ 1,645,600 | ¥ 1,218,800 |
今まで検討していた秒針無しのモノフェイスは、現在はサイズ展開は35.78 x 21 mmのスモールサイズ1つのみ。男女共用で使える、小ぶりな大きさですが、実際に腕に付けてみたところ、スモールは腕が太くない私でも思ったより小さく感じました。
残念ながら以前狙っていたミディアムのサイズは販売終了となってしまったため、サイズはよりしっくりきた45.6 x 27.4mmのラージに決めました。
トリビュートとクラシックはインデックスが植字とアラビア数字という大きな違いがあり、私はアラビア数字のほうが見た目が好みでした。
ムーブメントは個人的にはレベルソなら手巻き一択。そもそもレベルソは手巻きが主流でクオーツや自動巻きがあるモデルは少ないです。手巻きは同モデルに比べて部品点数が多いため10万円ほど値段が高く、使う時は毎日巻き上げる手間がかかりますが、せっかくならルクルトの精密な部品とつくりが詰め込まれた手巻きがオススメです。
ダブルフェイスのデュオは、約50万円プラスで両面の文字盤（裏側は夜の雰囲気にぴったりな黒背景の文字盤）はお得感があるとは思ったのですが、約2mm厚みが増すのと、個人的にはそこまで裏の文字盤の必要性を感じなかったので、上記を全て鑑みて、レベルソ・クラシックのスモールセコンドが一番気に入りました。
今買ってもメキシコ駐在中は金庫保管になるだけなので、そのままお店を後にするつもりでしたが、2025年10月にもまた価格改定されるということで、お店の雰囲気にも飲まれて、30歳になる来年まで待つより今買ったほうがお得と言い聞かせて、勢いで入店してからものの10分で購入しました。
想定外の追加購入：ストラップとDバックル 
想定外だったのは、私が購入した「レベルソ・クラシック スモールセコンド」の標準ストラップがCasa Fagliano社製（アルゼンチンのポロブーツメーカー）のカーフ素材で、色も既に付けてあるものから変えられない（私が購入したものはダークブラウンでした）ということ。
ブラックのアリゲーター素材のストラップにしようと思っていたので、もう160万以上の支払いが決定して感覚が狂っている私は即決で66,000円のアリゲーターストラップを追加購入。
そして極めつけに店員さんからオプションのDバックル（バックルを開閉するだけで簡単に着脱できる留め具）の紹介がありました。このスモールセコンドのモデルについては標準バックルがピンバックル（尾錠）のため、通常は毎回ピンをベルト穴に通す必要があります。Dバックルを装着すると着脱が楽になり、革ストラップへの曲げの負荷も抑えられるため、こちらも追加で購入。ただ、留め具だから高くても数万円だろうと思っていたら、70,400円･･･。
| 商品 | 型番 | 価格（円） |
| REVERSO CLASSIC LARGE SMALL SECONDS | JLQ3858522 | 1,645,600 |
| Alligator strap black satin matt 20/18 | JLQC21872Z | 66,000 |
| Folding buckle 3 blades 18mm | JLQBD88CIS | 70,400 |
| 1,782,000 |
全て合わせて1,782,000円（税込）。人生一の買い物になりました。
その日の夜は友人と飲む予定があったので、支払いだけ済ませて次の日に再訪して受け取り、なくしたり取られたりしないかとドキドキしながら無事にメキシコまで持って帰りました。
【購入】憧れの腕時計「レベルソ・クラシック スモールセコンド」
銀座ブティックの担当者さんに丁寧に梱包してもらい、無事に家に持ち帰ることができました。
紙製の箱の中に木製の時計ケース。下の引き出しには元々付いていたブラウンのカーフストラップとピンバックルを収納してもらいました。
以前は樹脂性だったようですが、木製は高級感があり劣化もしにくいので良い感じです。
紙箱の上部にユーザーマニュアル（国際保証書カードが挟まれています）と、ジャガー・ルクルトのロゴが入ったクリーニングクロスが収納されています。
金のボタンを押して木箱を開け、いざご対面。美しい佇まいにテンションが上がります。
仕様
| ケース | ステンレススチール |
| 寸法 |
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| 防水性 | 3気圧防水（日常生活用防水） |
| ムーブメント |
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さすがにメキシコ駐在中は外で付けるとリスクがあるので金庫保管です。12月の一時帰国時に付けるまではケースやバックルのフィルムは付けたままにしています。
ケース
ゴドロン様式（直線と曲線が組み合わさった装飾デザイン）の3本ラインを上下にあしらったレクタンギュラー（長方形）のケースは、人間が最も美しいと感じる「黄金比」の1:(1+√5)/2(近似値1:1.618)に近いサイズになっています。
文字盤（インデックス）
アラビア数字。文字盤中央には菱形のギョーシェ（ギヨシェ）彫りが施されています。最外周にもドットの彫りがあります。分数のダイヤル（ミニッツサークル）も黄金比率の長方形の彫りの中に5分ごとにツートーンの太さで描かれています。
時計の針はバトン針（針の中央部分から先端に向かって徐々に太くなり、先端が尖った形状の針）。近くで見ると光沢のある深いブルー色をしています。高級時計ブランドが採用するこのブルーの針は、耐食及び装飾として300度前後で鉄を熱して美しい青色にして磨き上げて作られています。
反転機能
ケースを右にスライドさせることで、レベルソの最大の特徴とも言えるケースの反転ができます。
スライドの操作感はとても滑らか。ケースがしっかりハマるとカチリと音をたてて収まるので気持ち良いです。
スライドするとケース背板と接する面にペルラージュ（真珠模様に見える円が重なり合った装飾）の贅沢な仕上げを見ることができます。
裏面
モノフェイスのモデルなので、裏面はステンレススチール。オプションの刻印サービスを利用することでイニシャル、記念日、アートなどを入れて世界で1つだけの腕時計にすることも可能です。
リューズ
リューズにはジャガー・ルクルトのJLのロゴ。ケース裏側の上下部分は手首に沿うように傾斜がかかっていることが分かります。
「1000時間コントロールテスト」合格の証
ジャガー・ルクルトの全モデルは独自の「1000時間コントロールテスト」で検査されており、ケーシング前後のムーブメント、時計の組み立て行程、完成した時計に対してもテストが行われています。
腕時計のケース裏に施された《1000 Hours Control》の刻印は、①精度、②気温耐性、③気圧耐性、④耐衝撃性、⑤耐磁性、⑥防水性（3 bar）の製品検査基準を満たしていることを証明しています。
革ストラップ
追加購入したブラックのアリゲーターのストラップはメーカーは不明（カミーユ・フォルネ？）ですが、ルクルトのロゴ入りでフランス製。標準のカーフのストラップはCasa Fagliano社製（アルゼンチンのポロブーツメーカー）でこちらもフランス製。
ちなみにクイックリリーステクノロジーという機能で、ストラップ裏側のピンをずらすだけで簡単にベルトを交換することができます。
Dバックル
追加購入して付け替えてもらったDバックル（Deployment Buckle：展開する留め金）。着脱が容易で、ブレスレットのように腕に通してから左右を重ねて締めるので時計の落下を防止することができます。ピンバックルのように毎回穴に通す必要が無いので、革ストラップへの負担も軽減できるのでオススメです。ステンレスのバックルに約7万円は高いですが、、、。
着用感
腕に付けるとさらに格好良く見えてずっと眺めてしまいます。
レベルソ・クラシックは、文字盤のガラスが真ん中に向かって少し盛り上がっており、角度によって光の反射、見え方が異なるのも特徴です。
今回は写真と撮りませんでしたが、ジャケットやシャツの裾からチラリと見えるレベルソが最もエレガントに見えると思います。私の服の系統のドレスカジュアルにもぴったり合ってくれるであろう美しい腕時計です。
写真よりも実物は小ぶりで存在感がありすぎずなさ過ぎずちょうど良いです。そして着用するとその薄さに感動します。モノフェイスなので尚更薄く、スーツやコートを着ても時計で引っかからないのが良いところ。
スモールセコンドの秒針は滑らかに動きます。木箱に入れた状態や静かな場所で時計に耳を近づけると、かすかにチチチという機械式時計特有の音が聞こえ、時を刻んでいることを実感します。
レベルソの巻き上げ方と時刻調整
リューズが絞まった位置で、時計回りに回してゼンマイをゆっくり巻き上げていき、抵抗を感じてリューズが回らなくなるところまで完全に巻き上げます。
- 勢いよく巻き上げると過度な摩擦で部品の摩耗の原因になるのでゆっくり巻き上げます。
- 巻き上げを繰り返す際、勢いよく手を離すと逆回転を防ぐコハゼという部品に負荷がかかるため、リューズの戻りを抑えるように指をゆっくり離して、再度巻き上げを繰り返していきます。
- 中途半端に巻き上げをやめてしまうと精度に影響が出るため、完全に巻き上げます。
- ムーブメントの精度を保つために、1日に1回、同じ時刻に巻き上げることが推奨されています。
- 私のように時計を使わず保管しておく場合は、内部の潤滑油をまわして動作確認する意味でも、1カ月に1回は巻き上げたほうが良いと店員さんにアドバイスしてもらいました。（使わないのに毎日巻き上げるのは部品の摩耗がもったいないので不要）
時刻調整は、リューズを1段階引き出して、時計回りに回して調整します。
時計とストラップのメンテナンス
腕時計ケース部分
- カメラ用のブロワーなどで砂や埃などキズの原因になるものを吹き飛ばす（無ければ、優しくブラシでブラッシングする。そのまま拭き上げるとキズの原因になりかねないので、少なくとも砂などが付着していないか確認したほうが良い）
- 腕時計用のクロス（セーム革、マイクロファイバー等）で優しく拭き上げる（ジャガー・ルクルトは購入時にクロスが1枚付属します）
革ストラップ
他の革製品と同じ。
- シミなどの汚れが付いた場合は、革用のクリーナーで拭き取る
- 馬毛ブラシでブラッシング
- 革クリーム（アリゲーター素材のストラップに使用するのであれば、できればエキゾチックレザー用のクリーム）を塗り、布等で拭き上げる
オーバーホール
機械式時計に欠かせないオーバーホール（分解掃除）。ジャガー・ルクルトは「コンプリートサービス」という名前でメンテナンスサービス（有料）を提供しています。
使用頻度や時計の状態によって前後しますが、基本は3〜5年に1回が目安。
最大8年の国際保証
購入時に付随する「国際限定保証」の保証期間内にある時計は、オンラインでジャガー・ルクルト ケアプログラムに登録すると保証期間が最大8年まで延長されます。担当の店員さんからの案内で、購入時にその場で登録して8年保証を適用させました。
自身の過失による故障は対象外ですが、通常の使用で製造上の欠陥があると認定した不具合は無料で修理してくれます。また、ジャガー・ルクルトはモデルの製造が終了しても、ブランドが存在する限り修理を受け付ける「永久修理サービス」を提供している世界でも5社しかいないなかの1社です。
一生モノの腕時計
30歳の節目を迎える前にフライングしてしまいましたが、一生モノの憧れの腕時計を購入できて感無量です。これからの人生を思い出とともに一緒に時を刻んでいきたいと思います。
