国立人類学博物館(Museo Nacional de Antropología)
メキシコシティのチャプルテペク公園内にある国立人類学博物館(Museo Nacional de Antropología)は、1964年に開館したメソアメリカの考古・民族資料を展示する博物館。22の常設展示室、2室の企画展示室、3つの講堂があり、メキシコ全土から集められた大量の考古学、人類学的収集品を鑑賞することができ、毎年200万人以上が訪れるメキシコシティの主要観光スポットになっています。
営業時間・入場料
営業時間 | 火〜日曜 9:00〜18:00 ※月曜は休館日 |
入場料 | 100ペソ ※日曜日はメキシコ国籍の方とFMを所有する外国人居住者は無料 |
チケットはエントランス向かって右側にある有人チケットカウンターで購入できます。
駐在者などFMを持っている日本人は日曜日に無料で入場するのが良いですが、日本から観光で訪れる場合は、混む日曜日は避けて火〜土曜日に訪れるのがオススメです。
また、写真撮影は無料で可(三脚・フラッシュ禁止)ですが、動画撮影する場合は「動画撮影許可チケット」を別途購入する必要があります。
荷物の預け入れは無料
小さい手荷物バッグのみ持ち込み可。バックパックなどの大きな荷物はエントランス向かって左側の荷物預かり所で番号札と交換で無料で預けることが可能です。
所要時間
サクッと見てまわるだけでも最低2時間、しっかり鑑賞したい場合は3時間かかります。
展示説明はスペイン語のみのため、しっかり理解したい方はツアーを推奨
博物館にはパンフレットは置いておらず、展示説明はスペイン語のみで英語すら無いため、ガイドから説明を受けながらしっかり鑑賞したい方はツアーを利用するのも良いと思います。
▶ 観光省公認ガイドと行くメキシコ考古学二大博物館!国立人類学博物館 + テンプロ・マヨール博物館<日本語ガイド貸切催行/メキシコシティ発> |
2時間でサクッと鑑賞
2024年10月。メキシコ駐在者も無料で入場できる日曜日の15時に国立人類学博物館を訪れました。入場手前の係員にメキシコ就労ビザ(FM3)を見せてそのまま入場。
中庭
入場すると最初に現れるのが「Paraguas(傘)」と呼ばれる建築物。傘から水が降り注いでおり、写真撮影する方も多くいます。
館内マップとルート
公式サイトにスペイン語のみですがマップが掲載されています。池のある中庭を四方で囲む形で展示部屋があり、1階と2階があります(一部地下展示室有り)。
主な見どころは1階にあり、かつ、右回りで年代を経て行くので、1階を右回りで見ていき、時間に余裕があれば2階を一周するというルートがオススメです。
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下調べせずに訪れましたので、ここからは個人的に印象に残って撮影した見どころ?をご紹介。
テオティワカン室
ミクトランテクートリの円盤(Disk of Mictlāntēcutli、God of Death)
アステカ神話の冥界ミクトラン(九層目にある最下層の冥府)の王にして死の神であるMictlāntēcutli(ミクトランテクートリ)の円盤彫刻。1963年に太陽のピラミッドで発掘された時点で部分的に欠損しており、西暦1〜600年に製作されたとされています。
ケツァルコアトル神殿の実物大レプリカ

テオティワカンで見たケツァルコアトル神殿の実物大レプリカ。色褪せてしまった実物の当時の色合いが再現されています。
チャルチウィトリクエ(Chalchiuhtlicue)の像
アステカ神話に登場する水の女神、チャルチウィトリクエ(Chalchiuhtlicue)の像。テオティワカンの月のピラミッドの前に建っていたもの。
El Creador(創造主)
モレロス州にある先コロンブス期(古典期後期650年-900年に繁栄)の遺跡で発掘された像。
1〜5を見終わり、いよいよ見どころとも言える6のアステカ室へ。
アステカ室
Ocelocuauhxicalli(オセロクアウヒカリ)
ナワトル語でジャガーを意味する「Océlotl(オセロトル)」の見た目をした、生け贄の心臓を捧げる容器cuauhxicalli(クアウヒカリ)。
Piedra de Tízoc(Stone of Tizoc、ティソクの石)
太陽神・軍神・狩猟神であるHuītzilōpōchtli(ウィツィロポチリ)の頭飾りをかぶった戦士が、もう一方の戦士の髪を掴んでいる(征服を意味する)彫刻が側面に施された大きな円形のアステカの石。アステカ帝国の君主ティソクによる征服が描かれています。上面にくぼみがあり、生け贄を捧げる台座として使われたと考えられています。
Brasero Chicomecóatl(チコメコアトルの火鉢)
Chicomecóatl(チコメコアトル)はアステカ神話に伝わる豊穣・栄養の女神。トウモロコシの神として崇拝されているCintéotl(シンテオトル)の女性版ともされています。トウモロコシがアステカ人の主食だったことがよくわかる彫刻です。トウモロコシを持った姿がシュールだったので思わず写真を撮りました。
Quetzalcōātl(ケツァルコアトル)の像
アステカ神話の文化神・農耕神、風の神であり、マヤ文明ではククルカンの名前で崇拝されていたQuetzalcōātl(ケツァルコアトル)の像。「羽毛のある蛇」を意味する名前の通りに表現されています。
Coatlicue(コアトリクエ)の像
アステカ神話における地母神、Coatlicue(コアトリクエ)の像。名前は「蛇の淑女」、「蛇(cōātl)のスカート(īcuē < cuēitl)をはく者」を意味します。
斬首された頭の代わりに頭部で2匹の蛇が向かい合い、口からヘビの牙と舌が出ています。人間の手首と心臓を繋ぎ、頭蓋骨を吊ったペンダント、両肩、腕、スカートに無数の蛇という何ともインパクトのある巨大な像です。
Piedra del Sol(太陽の石)
国立人類博物館の一番の見どころと言っても過言ではないほど有名な「Piedra del Sol(太陽の石)」。アステカの宇宙観、時間観、歴史観をあらわす石彫刻で、写真では伝わりづらいですが、直径約3.6メートル、約24トンの玄武岩の円盤でかなり巨大です。スペインによる征服でメキシコシティのソカロに埋められ、1790年にメトロポリタン大聖堂修復時に発掘されました。
中央に太陽神であるTōnatiuh(トナティウ)の顔が描かれ、(大地の神・怪物であるTlaltecuhtli(トラルテクトリ)の顔という考えもあり諸説有り)、その周囲四方にアステカ神話において現代がはじまる前にあったとする4つの時代(4のジャガー、4の風、4の雨、4の水)があり、その周囲に左回りにTonalpohualli(トナルポワリ260日周期のアステカの祭祀暦)を構成する20の日の記号が記されています。
他にもたくさん展示物があります。
マヤ室
Calakmul(カラクムル)遺跡の石碑
メキシコ・カンペチェ州にあるマヤ文明の中部地域の都市Calakmul(カラクムル)遺跡の石碑。
Relieve de Placeres(プラセレスのレリーフ)
カンペチェ州南部のマヤ文明、プラセレス遺跡の寺院のファサードの一部だったとされるもの。長さ8.39m、高さ2.48m。真ん中に支配者、両側に捧げ物を運ぶ老人が表現されています。
チャク神の仮面(Mascarón de Chaac)
マヤ神話の雨と雷を司る神Chaac(チャク)の仮面。
Chac mool(チャクモール)
Chac mool(チャクモール)は、古典期終末から後古典期にかけてメソアメリカ全域において見られる、仰向けでひじをついて上半身を起こし、顔を横に向け、両手で腹の上に皿や鉢のような容器をかかえてひざを折り曲げている人物像。
例に漏れず神や太陽へ心臓を捧げる生け贄の台座で、こちらの像はチチェン・イッツァ遺跡の「戦士の神殿」で発掘されたもの。
Hochob(ホチョブ)遺跡のファサードのレプリカ
カンペチェ州のマヤ文明遺跡、Hochob(ホチョブ)遺跡のファサードのレプリカ。
メキシコシティの外せない観光スポット
2階も含めて全て見てまわりましたが、2時間だと主要どころ以外は流し見になります。遺跡や歴史が好きな方は3時間でゆっくりまわるのが良さそうです。
写真は撮っていませんが、オルメカの巨人石頭像、パカル大王の仮面や墓、トルテカの地図、など見ているだけでも面白い展示物がたくさんあります。メキシコシティを観光する際は外せないスポットなのでぜひ旅行の際は足を運んでみてください。
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