テオティワカン遺跡
テオティワカン(Teotihuacan)は、紀元前2〜6世紀まで繁栄した、古代メソアメリカの文明都市。独自のテオティワカン文明の中心として、当時のアメリカ大陸では最大規模を誇り、最盛期の人口は10〜20万人ともいわれています。7世紀に衰退して滅亡した理由は諸説あり、現在も謎の多い遺跡です。「テオティワカン」は、ナワトル語で「神々の都市」という意味で、13世紀頃に遺跡を発見した、アステカ人が命名しました。
古代都市テオティワカンとして、1987年に世界文化遺産に登録され、メキシコの有名観光スポットとして多くの人が訪れています。
メキシコシティからのバスでの行き方
メキシコシティ経由で日本へ出張する機会があり、フライトが深夜便だったため、日帰りでテオティワカンを観光しました。
1.Northern Bus Station(最寄り地下鉄:Autobuses del Norte)へUberで移動
午前8時。空港ターミナル1のゲート7(Puerta 7)付近のロッカーにスーツケースを預け(300ペソ)、Uberでテオティワカン行きのバスが発着する「Northern Bus Station(最寄り地下鉄:Autobuses del Norte)」へ移動します。(空港から約120ペソ)
バスターミナルが位置するシティ北部は治安が良くないので、最寄りにメトロもありますが、メキシコはUberが安いので、シティ中心地からUberでサッと移動したほうが楽で安全です。
バスターミナルに着いたら、入口向かって左端まで歩くと、写真のSala 8(ゲート8)の近くに「AUTOBUSES TEOTIHUACAN」の受付があります。
受付で「ピラミッドまでの往復チケット(boleto de ida y vuelta a las pirámides)が欲しい」と伝えれば往復券を購入できます。(往復136ペソ)。カード払い可。
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行きと帰りそれぞれ1枚ずつチケットをもらったら、隣りのゲート8から入場し、簡単なセキュリティチェックを通ってバス乗車口へ。ターミナルの中は綺麗でコンビニ等もあるので、水や軽食を購入していくと良いです。
2.バス乗車(行き)
バスは15分ごとに運行しており、予約不要です。午前9時前に乗車。
他のバス会社も発着するので分かりにくいですが、写真のようなバスのフロントの表示に「PIRAMIDES」があるバスに乗ります。だいたい6番の柱付近かと思いますが、分からなければ周りの人に聞いたら快く助けてくれると思います。
ちなみにバスはシートベルトが無いので、事故が起きませんようにと内心ハラハラしていました。メキシコ国民は日曜日はテオティワカンへの入場が無料のため、途中のバス停を寄る間にバスは満席になり、立って乗車する人もいました。
3.Piramides Puerta 1または2で下車
テオティワカン遺跡周辺がテオティワカンという町の名前のため、降り口を間違えないよう、「Piramides Puerta1 または Puerta2」で降ります。1時間10分ほどで10時10分に到着。
ケツァルコアトル神殿(Templo de Quetzalcóatl)を見る場合はPuerta1、見ない場合は太陽のピラミッド直結のPuerta 2。
他のブログでPuerta1で下車していたので、私もそうしたかったのですが、私が乗ったバスはPuerta2のみ停車と言われ、遺跡内を歩いてケツァルコアトル神殿まで行きました。時間が限られている人は乗るときにPuerta1で停まるか聞いてみた方が良いかもしれません。
4.バス乗車(帰り)
帰りは、月のピラミッドから向かって左に進み、ジャガーの宮殿やお土産ショップ、駐車場を過ぎてPuerta 3の出入り口から道路を挟んだ向かい側にある写真のような看板の場所でバスを待ちます。
バス停のような感じはしませんが、近くにいた人に教えて貰いました。10分ほど待ったらバスが来たので手を挙げてバスを止め、帰りのチケットを見せて乗車します。最悪、チケットを無くした場合は乗車時に購入可能です。帰りのバスは途中から音楽隊が乗ってきたりして賑やかでした。
世界遺産テオティワカン遺跡の観光、見どころ
テオティワカン遺跡の営業時間と入場料
※24年10月時点。最新情報は要確認(https://www.inah.gob.mx/zonas/23-zona-arqueologica-de-teotihuacan)
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各出入り口で入場券を購入可能です。この日は日曜日だったため、在留カードを持っている私もメキシコ国民同様に無料でした。チケットは必要なのでPuerta 2の入口で在留カードを提示して入場チケットをもらいました。駐車場付近のトイレ(無料)に寄ってから入場。
参考:テオティワカンと国立人類博物館の観光スケジュール
この日はテオティワカンと国立人類博物館を観光しましたので、その時のスケジュールを参考までにNotionで公開しています。
太陽のピラミッド(Pirámide del Sol)
Puerta 2から入場すると目の前に見えるのが太陽のピラミッド(Pirámide del Sol)です。テオティワカン最大の建造物で、200年頃に建造され、四方225m、高さ65m、248段ある、世界で3番目に大きいピラミッドです。夏至の日に、太陽がピラミッドの正面に沈むように設計されているそうです。
以前は登れましたが、24年10月現在は登ることができません。
一説では、メソアメリカの神話で世界が始まったとされる8月12日とそこから約260日後の4月29日に太陽のピラミッドの正面に太陽が沈むように、メソアメリカで広く用いられていた260日を周期とする歴をベースに都市設計されてされていると言われています。260日暦は祭祀と深く関連づけられていたため、祭祀暦とも呼ばれます。
小さな石の装飾は復元の目印
遺跡内の石壁をよく近づいて見ると、所々大きな石とその周りに小石が取り囲むようにはめ込まれている場所があります。この小石が入っている部分は修復の目印でオリジナルの遺跡と区別されています。
死者の道(Calzada de los Muertos)
遺跡内の南北を約4kmにわたり繋ぐメインストリートは「死者の道(Calzada de los Muertos)」と呼ばれています。
Puerta 2から入ってしまったので、南にあるケツァルコアトル神殿に行くため、20〜30分ほど歩きました。段差の高い階段を上って下ってのアップダウンばかり、たまに上り下りを避けるために左右から回り道をしたりとなかなかハードですが、道中にメキシコらしいサボテンの風景などもあるので、時間に余裕があれば休憩しながらゆっくり散歩するのも良さそうです。
ケツァルコアトル神殿(Templo de Quetzalcóatl)
遺跡内の南に位置する「ケツァルコアトル神殿(Templo de Quetzalcóatl)」。
階段登ってスロープを下ると、目の前にケツァルコアトルとトラロックの顔の像で装飾されたピラミッドが現れます。個人的に遺跡内で最も見どころの遺跡だと思います。かつては極彩色に彩られていたそうです。
ケツァルコアトル
ケツァルコアトルは、古代ナワトル語で「羽毛ある蛇」(ケツァルが鳥の名前(キヌバネドリ科)、コアトルが蛇)を意味し、古代メソアメリカ諸文明で広く信仰されていた農耕神。民衆に文明を与えた文化神、風の神とも考えられています。
トラロック
トラロックは、メソアメリカ諸文明で広く信仰された雨と雷の神。
当時宝物と考えられていた貝殻などをモチーフにした装飾も施されているのが分かります。
来た道を引き返します。観光客や土産売りの人たちがメキシコらしい麦わら帽子を被っていて微笑ましいです。
テオティワカン遺跡博物館(Museo de la Cultura Teotihuacana)
来た道をそのまま引き返すつもりでしたが、死者の道の道中で「Museo(博物館)」の表示を見つけ、博物館に寄ってみました(看板の表示から遠く、ほぼ太陽のピラミッドの隣りまで戻りました)。チケットを見せれば入場は無料です。メキシコシティの国立人類博物館でも同様の展示物を見ることができるので、個人的には時間がなければ飛ばして良いと思います。
死者の道に戻り、太陽のピラミッドから月のピラミッドの方向へ歩きます。午前11時半頃。メキシコ国民が入場無料の日曜日ということもあり、混んでいましたが、遺跡内は広いので個人的には許容範囲内の混み具合。混雑を避ける場合は日曜日を避けると良いです。
ジャガー(ピューマ)の壁画(Mural del Puma)
太陽のピラミッドと月のピラミッドの間、月のピラミッド向かって右側に「ジャガー(ピューマ)の壁画(Mural del Puma)」がひっそりとあります。ジャガーまたはピューマは当時の人々にとって恐るべき最強の動物ということで神聖な生き物として見られていたことが分かります。1000年以上も前に描かれたものですが、色も残っています。
月のピラミッド(Pirámide de la Luna)
北に位置する遺跡内で2番目に大きい「月のピラミッド(Pirámide de la Luna)」。高さは約47m。背後にある「セルロ・ゴルド(Cerro Gordo)」という大きな山を模していると考えられています。
こちらも24年10月現在は登れません。
ピラミッド内部から生贄の埋葬跡が見つかっており、ピラミッド前の広場が広いことから、月のピラミッドでは重要な宗教的な行事を行なっていたと考えられています。
向かって左側のケツァルパパロトル宮殿付近に登れるところがあるので、そこから撮ると全体像を収めることができます。
ケツァルパパロトル宮殿(Palacio de Quetzalpapálotl)
「ケツァルパパロトル宮殿(Palacio de Quetzalpapálotl)」は、当時のテオティワカン建造物の姿を最も完全に近い状態で復元した遺跡です。
司祭の住居であったと考えられており、赤い屋根、赤土色の柱、そこに掘られた羽を広げたケツァル(鳥)の彫刻が見どころです。鳥類キヌバネドリ科の一種のケツァールは、メソアメリカ文明では飛んでくると雨が降ると言い伝えられており、神の化身として信仰されていました。そのケツァールが羽を広げている姿が蝶(パパロトル)のようだったため、この宮殿の名前になりました。
ケツァルの目の部分には、周辺地域で採掘され石器として用いられていた黒曜石が埋め込まれています。
ジャガーの宮殿(Templo de los Jaguares)
お土産ショップの向かい側にある最後のスポットが「ジャガーの宮殿(Templo de los Jaguares)」です。状態の良いホラ貝を吹いている羽毛付きのジャガーの壁画や、中に入るとケツァルの壁画や貝の彫刻の建造物を見学できます。
建物を出たら、お土産ショップと駐車場を突っ切ってPuerta 3の出入り口を出て、帰りのバスに乗車してシティへ戻りました。
テオティワカン日帰りの観光所要時間、見学ルート
遺跡をどれだけ時間をかけて見て回るかに寄りますが、見どころをさっと見ながら写真はしっかり撮って回って、現地での所要時間は2〜2時間半。移動のバスは渋滞等がなければ片道約1時間15分程度ですので、メキシコシティから往復で5時間。余裕をみて6時間といった感じで、半日で観光することが可能です。
見学ルートは以下推奨。
2時間未満しかない場合 | 見どころ網羅かつ最短 | Puerta 2で降りた場合の見どころ網羅 |
① 2番口から入場 | ① 1番出口から入場 | ① 2番出口から入場 |
② 太陽のピラミッド | ② ケツァルコアトル神殿 | ② 太陽のピラミッド |
③ 死者の道 | ③ 死者の道 | ③ 死者の道 |
④ ジャガーの壁画 ※ | ④ 遺跡博物館 ※ | ④ ケツァルコアトル神殿 |
⑤ 月のピラミッド | ⑤ 太陽のピラミッド | ⑤遺跡博物館 ※ |
⑥ ケツァルパパロトル宮殿 ※ | ⑥ ジャガーの壁画 | ⑥ ジャガーの壁画 |
⑦ ジャガーの宮殿 ※ | ⑦ 月のピラミッド | ⑦ 月のピラミッド |
⑧ 3番口から退場 | ⑧ ケツァルパパロトル宮殿 | ⑧ ケツァルパパロトル宮殿 |
⑨ ジャガーの宮殿 | ⑨ ジャガーの宮殿 | |
⑩ 3番口から退場 | ⑩ 3番口から退場 |
※は優先順位低
観光時期、時間
11〜3月の乾期は雨の確率がぐっと下がるのでオススメです。4〜10月の雨期でも夕方に雨が降りやすいので午前中を狙えば雨を回避できる可能性があります。
開園直後(8〜9時)は観光客も少なく、夏場は涼しく(秋冬は寒い)静かな雰囲気を味わえるので午前中でまわるのがオススメです。
費用
空港からバスターミナルへの移動(Uberチップ込み) | 120 |
テオティワカンへのバス往復 | 136 |
入場チケット ※日曜は在留カード提示で無料 | 95 |
バスターミナルからシティ中心地へ移動(Uberチップ込み) | 150 |
合計 | 501 |
費用は500ペソ(約4000円)です。食事やお土産などある場合はさらにかかりますが、ツアーに比べるとかなり安く抑えることができ、時間や行動の自由もあるので個人で行くのがオススメです。
遺跡の歴史や説明を聞きたいならツアーもあり
個人である程度予習して行くこともできますが骨が折れるので、遺跡の歴史や説明を聞いてしっかり楽しみたい場合はガイドツアーもオススメです。
メキシコシティ発のツアーは英語であれば約500ペソと同じくらいの費用で行くことができます。ただし、他の観光スポットやお土産ショップへの立ち寄りなども付帯してくるので、テオティワカンのみ行きたい人には余計かもしれません。
日本語ツアーであれば、VELTRA(ベルトラ)などでメキシコシティからのツアーがあります。200〜300ドルしますが、メキシコシティ歴史地区や国立人類博物館がセットになっている1日ツアーのため、セットで回りたい方にはオススメです。
メキシコに来たらぜひ寄りたいパワースポット
格子状に道路が配された都市全体が真北から15度30分ほど東に傾いて設計されていたりと未だ謎の多い古代遺跡テオティワカン。2つのピラミッドを地上と天空をつなぐものとして見たり、古代の宇宙論に思いを馳せると不思議な感覚になる、メキシコに来たらぜひ寄って欲しいパワースポットです。